人類はなぜ「相手の過去」が気になるのか?

恋愛や結婚において、相手の「過去」が気になるのは、単なる嫉妬や好奇心ではありません。進化心理学の観点では、それはリスク管理の一環と考えられています。
たとえば、過去に多くの性的パートナーがいる人は、「浮気しやすいのでは?」「病気を持っているかもしれない」「他にも恋敵がいそう」など、長期的な関係におけるリスクを連想させます。
こうした判断は、子育てや生活をともにする上で不利益を避けるために、人類が進化の過程で獲得してきた心理的メカニズムの一部と考えられています。
研究チームは、15の独立サンプルを使い、世界各地の成人にオンラインで調査を行いました。
参加者には、架空の「恋愛候補者」の性的履歴を示す画像(棒グラフのような視覚図)を見せ、その人と「長期的でコミットした関係(long-term committed relationship)を築きたいと思うか」を9段階で評価してもらいました。
この「長期的関係」とは、結婚を明示したものではありませんが、少なくとも一時的な交際ではなく、結婚を前提にした本命のパートナー関係を想定しています
評価された架空の相手は3パターンあり、それぞれ過去のパートナー数が「4人」「12人」「36人」と設定されています。加えて、性的関係が「時間とともに増えている」「均一」「減ってきている」という、頻度の“分布パターン”も操作されていました。
つまり、「どれくらいの人数」と「どんなタイミングで関係を持ったか」が評価にどう影響するかを精密に測定したのです。