頭がコーン型に成形された少女
この物語の舞台は、現在のイラン西南部に位置するチェガ・ソフラ遺跡です。
ここは紀元前5千年紀、つまり約6200年前に使用されていたとされる先史時代の共同墓地として知られています。
考古学者たちは10年以上にわたりチェガ・ソフラ遺跡を発掘しており、近年になって驚くべき発見が相次いでいます。
その中でも特に注目されたのが「BG1.12」と名付けられた若い女性の頭蓋骨です。
遺骨の調査の結果、彼女はまだ20歳未満の少女だったと推定されています。

また彼女の頭は、現代人の常識を大きく超えるほど縦に長く、まるで映画に出てくる宇宙人のような形をしていました。
このような頭部の形は、人工的な頭蓋変形によってつくられたものです。
具体的には、まだ骨が柔らかい幼児の頃から、頭に包帯を巻いて長期間固定し、意図的に骨の成長方向を変えるという処置です。
この風習は、ユーラシア、アフリカ、南北アメリカなど、世界各地の古代文明で見られており、美しさや地位、部族のアイデンティティの象徴として行われていたと考えられています。
チェガ・ソフラ遺跡からは、他にも同様の変形頭蓋骨が複数発見されていますが、すべてが変形されているわけではありません。
つまり、この風習は特定の集団や身分に限定された可能性が高いのです。
少女が属していた家族や部族が、この「コーン型の頭」を特別な意味で捉えていたことは間違いないでしょう。