寝不足の脳がジャンクフードを欲する理由は?
私たちの体は、「空腹ホルモン」と呼ばれる2つのホルモンを使って、食欲を調節しています。
ひとつは胃で作られる「グレリン」で、これは「お腹が空いた」という信号を出します。
もうひとつは脂肪細胞で作られる「レプチン」で、「もう満腹だ」と脳に伝える役割を果たしています。
ところがたった一晩の睡眠不足でも、グレリンの分泌が増え、レプチンの分泌が減ることが分かっているのです。
つまり、たった一回の寝不足でも、「お腹が空いた」と感じやすくなり、しかも「もう満腹だ」と思いにくくなるのです。

さらに悪いことに、睡眠不足はストレスホルモンの一種である「コルチゾール」の分泌も促進します。
コルチゾールはストレスに対処するために体がエネルギーを欲するように仕向けるため、自然と高カロリーな食品への欲求が強まるのです。
これに加えて、脳の中でも大きな変化が起こります。
前頭前皮質という、理性的な判断や抑制をつかさどる部分の活動が低下する一方で、誘惑に反応する扁桃体や「快楽中枢」として知られる側坐核(そくざかく)が過敏に働くようになるのです。
その結果、チョコレートやフライドポテトのような「高カロリーで手軽に手に入る食べ物」に対して、脳は過剰に反応します。
「今日はちょっとだけ」と言い訳しながら、つい手を伸ばしてしまうのは、この脳の異常な働きが原因なのです。
実際に、実験室で行われた研究では、一晩に4〜5時間しか眠っていない被験者は、ジャンクフードを「魅力的」と感じやすく、実際にそれを選ぶ確率も高いことが報告されています。
つまり、寝不足の状態では「脳がご褒美モードに切り替わってしまい」、その誘惑を理性で抑える力が弱まってしまうというわけです。



























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