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たった1日の寝不足で、脳は「ある物」が無性に食べたくなる

2025.06.19 07:00:37 Thursday

睡眠不足は現代人の間に蔓延する悪き生活習慣です。

夜遅くまでSNSをチャックしたり、YouTubeを見たり、サブスクのドラマを観たりすることが多々あるでしょう。

そんな寝不足の翌日、なぜか健康的でヘルシーな食事よりも、高カロリーなスナック菓子やジャンクフードが食べたくなることはありませんか?

これは近年の神経科学研究で明らかになっている現象です。

専門家によると、たった一晩の睡眠不足でも、脳と体の間にある「空腹と報酬」のバランスが大きく崩れてしまい、ジャンクフードのような高カロリー食が魅力的に見えるといいます。

では、寝不足でジャンクフードが食べたくなるメカニズムを見てみましょう。

Just One Night of Poor Sleep Can Change How Your Brain Sees Food https://www.sciencealert.com/just-one-night-of-poor-sleep-can-change-how-your-brain-sees-food

寝不足の脳がジャンクフードを欲する理由は?

私たちの体は、「空腹ホルモン」と呼ばれる2つのホルモンを使って、食欲を調節しています。

ひとつは胃で作られる「グレリン」で、これは「お腹が空いた」という信号を出します。

もうひとつは脂肪細胞で作られる「レプチン」で、「もう満腹だ」と脳に伝える役割を果たしています。

ところがたった一晩の睡眠不足でも、グレリンの分泌が増え、レプチンの分泌が減ることが分かっているのです。

つまり、たった一回の寝不足でも、「お腹が空いた」と感じやすくなり、しかも「もう満腹だ」と思いにくくなるのです。

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さらに悪いことに、睡眠不足はストレスホルモンの一種である「コルチゾール」の分泌も促進します。

コルチゾールはストレスに対処するために体がエネルギーを欲するように仕向けるため、自然と高カロリーな食品への欲求が強まるのです。

これに加えて、脳の中でも大きな変化が起こります。

前頭前皮質という、理性的な判断や抑制をつかさどる部分の活動が低下する一方で、誘惑に反応する扁桃体や「快楽中枢」として知られる側坐核(そくざかく)が過敏に働くようになるのです。

その結果、チョコレートやフライドポテトのような「高カロリーで手軽に手に入る食べ物」に対して、脳は過剰に反応します。

「今日はちょっとだけ」と言い訳しながら、つい手を伸ばしてしまうのは、この脳の異常な働きが原因なのです。

実際に、実験室で行われた研究では、一晩に4〜5時間しか眠っていない被験者は、ジャンクフードを「魅力的」と感じやすく、実際にそれを選ぶ確率も高いことが報告されています。

つまり、寝不足の状態では「脳がご褒美モードに切り替わってしまい」、その誘惑を理性で抑える力が弱まってしまうというわけです。

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