男性のほうが肛門挿入「だけ」でオーガズムに達する可能性が2倍高いことが判明
男性のほうが肛門挿入「だけ」でオーガズムに達する可能性が2倍高いことが判明 / Credit:Canva
health

男性は女性より肛門挿入「だけ」でオーガズムに達する率が2倍高いと判明

2025.06.13 17:10:36 Friday

アメリカのカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)で行われた研究によって、男性は肛門への挿入刺激「だけ」でオーガズムに達する確率が女性の約2倍にのぼることが判明しました。

男女の性行為でも挿入刺激だけでオーガズムに達するのが難しいと言われているなかで、男性の挿入に対する感度の高さは非常に驚きと言えます。

また研究では直腸内の快感ゾーンもマッピングされており男女とも直腸の前方浅い部分が最も快感を感じやすい領域であることを突き止めました。

この部位の近くには男女ともに陰部神経の枝が、女性の場合さらに陰核脚(クリトリスの脚部分)が直腸前壁近くに走行しており、これら解剖学的・神経学的要因が肛門刺激で快感やオーガズムを引き起こす一因と考えられます。

今回の発見は「肛門の快感」は単なる心理的なものではなく身体的な仕組みに裏付けられたものであることを示しています。

研究内容の詳細は2025年6月2日に『Sexual Medicine』にて発表されました。

Anal sex practices and rectal erogenous zone maps among men and women of diverse sexual orientations: an anatomic-map based questionnaire study https://doi.org/10.1093/sexmed/qfaf037

タブーの裏に眠る科学を掘り起こせ

タブーの裏に眠る科学を掘り起こせ
タブーの裏に眠る科学を掘り起こせ / Credit:Canva

肛門を使ったセクシュアルな行為(一般的にアナルセックスと呼ばれます)は年代や性別セクシュアリティを問わず多くの人に親しまれてきました。

実際過去の調査では異性愛者では女性の36%・男性の44%がパートナーとのアナルセックス経験を持ち両性愛者や同性愛者ではさらに高率であることが報告されています。

こうした統計が示すように肛門性交(受け身側)は特定の層だけでなく幅広い人々によって行われる普遍的な行為と言えます。

なぜ男性も肛門性交で快感を感じるのか?

これまでの解剖学的な見地から、人間の腰の奥、背骨の下の方から、まるで太い充電ケーブルのような「陰部神経」というメインラインが伸びています。

ケーブルは骨盤の内側をぐるりと回り込み、お尻の柔らかな脂肪に潜り込むと細いコードに枝分かれし、肛門まわりと外陰部の皮膚・筋肉、さらにはクリトリスや亀頭までもくまなく張りめぐられます。

そんな陰部神経の太い枝の一つとして「下直腸神経」が存在しており、肛門から指先がようやく届く1〜2センチほどの浅い前壁に、小さなセンサー線をびっしり伸ばしています。

ここは感覚のホットスポットで、男性ならすぐ裏に前立腺が、女性なら腟の壁のすぐ向こうにクリトリスの内部構造(脚=クルラ)が走っているため、この内側の点を軽く押すだけで外側を直接愛撫したかのような信号が脳へ届き、内側からゾクッと震えるような快感が立ち上がりやすいのです。(※なぜ前立腺刺激が男性にとって快感なのかは3ページ目の「なぜ男性は前立腺刺激で快感を感じるのか?」の部分で解説していますので参照してください)

リズミカルな刺激が続くと、その信号は脊髄を経て骨盤底の筋肉を反射的に締めたりゆるめたりさせ、同時に脳では快感物質のドーパミンやオキシトシンがあふれ、ある強さと時間がそろった瞬間に「絶頂スイッチ」が入ってオーガズムへと達します。

ただしこの前壁センサーは非常に敏感で、潤滑が足りなかったり急に強い圧をかけたりすると、心地よさが一瞬で「痛い」「不快」という信号に反転します。十分に潤滑し、ゆっくり体を慣らせば、男女どちらにとっても体の奥からふくらむ独特の深い快感を安全に味わえる仕組みになっているのです。

しかしながら医療・性科学の分野でアナルセックスに関する研究の多くはHIVや性感染症などリスクに焦点を当てたり対象も異性愛の女性や男性同士のセックス(MSM)に偏っていたりしました。

性的快感や満足オーガズムといったポジティブな側面や直腸内のどの場所が気持ち良いのかといった問いは十分に検討されてこなかったのです。

こうした背景から米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(調査開始当時)などの研究チームは肛門性交時の快感やオーガズムに関する初の大規模調査を実施しました。

この研究の目的は大きく3つあり

(1)どのような男女がどの程度アナルセックスを行っているか

(2)肛門・直腸内のどの部位で快感を得ているか

(3)肛門刺激だけでオーガズムに達することがあるのか

などを明らかにすることでした。

著者らは「肛門の快感の仕組み」や「肛門性交とオーガズムの関係」を解明し医療者が患者に適切なアドバイスを行えるようにする一助とすることを目指したのです。

次ページお尻に隠れた“Gスポット”:男性はなぜ挿入だけでイケるのか?

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

健康のニュースhealth news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!