お尻に隠れた“Gスポット”:男性はなぜ挿入だけでイケるのか?

研究チームはオンライン上でアンケート調査を行い、米国の成人男女を対象に約1,000人分のデータを収集しました。
回答者はシスジェンダー(身体の性と性自認が一致している)女性498人、男性466人で、年齢は18歳から60歳以上まで含まれ、性的指向(異性愛、同性愛、両性愛、無性愛)も多様な層から募られました。
調査ではまず性経験や属性について質問した後、「これまでに受け身の肛門性交を経験したことがあるか」を尋ねました。
すると今回の研究では女性の33%・男性の23%がパートナーとのが『受け身のアナルセックス』を経験したとの回答が得られました。
(※年齢層別にみると、女性では中年期(40~59歳)の経験率が最も高く、男性では高齢層(60歳以上)が最も低くなっていました。)
さらにYesと答えた人には、人間の肛門・直腸を前後×浅深の4つの領域(前方浅部・後方浅部・前方深部・後方深部)に区分した解剖図が示され、パートナーとの性行為中に触れられて気持ちよさを感じる領域にチェックを入れてもらいました。
また、肛門刺激でのオーガズム経験について、「肛門への刺激だけで絶頂に達したことがあるか、あるいは他の部位への同時刺激(共刺激)があれば達したことがあるか」も質問しました。
調査の結果、全体の約28%(3割弱)がこれまでに受け身のアナルセックスを経験したと回答しました。
男女別に見ると女性の33%・男性の23%が経験ありと答えており、女性の方が有意に割合が高い傾向がみられました。
(※ただしこれは女性の『好み』ではなく機会や報告バイアスを反映している可能性があると研究チームは指摘しています。)
年齢層では中年期の女性が最も経験率が高く、逆に高齢の男性で最も低くなっていました。
また性的指向による差もあり、異性愛者に比べて同性愛者や両性愛者の方がアナルセックスの経験率が高い傾向がありました(特に異性愛男性は他の層より低率でした)。
研究チームは、この背景には「肛門の快感=同性愛的」という偏見が影響している可能性があると指摘しています。
実際、2017 年の大学生対象調査では95%もの異性愛男性が「肛門の快感は同性愛的だ」と考えていることが報告されており、そうした固定観念から異性愛男性の中にはアナルセックスを避けたり正直に答えなかったりする人もいると考えられます。
次に、肛門・直腸内でどの部分が「気持ちいい」と感じられるかについては、男女とも「前方の浅い部分」を挙げる人が最も多い結果となりました。
4領域のうち、浅い(入口に近い)部分は奥の深い部分より人気が高く、特にお腹側(前側)の浅いゾーンが最多だったのです。
一方、直腸の奥(深部)や後ろ側を快感ゾーンだと答えた人は相対的に少なく、浅い前方とは対照的でした。
興味深いことに、回答者の性的指向にかかわらずこの傾向は共通しており、男女とも前方浅部の刺激を「心地よい」と感じる人が多かったのです。
では肛門刺激でオーガズムに至ることはあるのでしょうか。
この点について、「肛門刺激のみ」でオーガズムを経験したことがあると答えた人は男性では39%、女性では19%という結果でした。
つまり男性の方が女性よりも挿入刺激だけでイける(オーガズムに達する)割合が有意に高かったのです。
一方で、男女それぞれ約半数の人(女性49%・男性47%)は「他の部位への併用刺激があればオーガズムに達した経験がある」と回答しています。
しかし「肛門への刺激では一度もイったことがない」という人は女性に多く、その割合は男性の2倍(男性16%に対して女性32%)に達しました。
このように、オーガズムに関しては男女間で明確な差が見られました。