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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
paleontology

1億年前の岩石から「39種の新種イカ」を発見!

2025.06.30 20:00:16 Monday

軟体動物であるイカは、ほとんど化石として残されません。

そんな中、北海道大学の研究チームは、最新のデジタル化石解析技術を使って約1億年前の岩石を調査。

その結果、なんと40種もの未知のイカ化石が新たに発見されたのです。

これまで白亜紀のイカ化石と断定できていたものは1標本のみでしたが、今回一気に263個も見つかったため、研究者たちも驚きを隠せません。

何より衝撃だったのは、イカが1億年前の時点で予想をはるかに超える多様性を誇っていたことです。

白亜紀の海はすでに“イカだらけ”だった可能性が浮上しました。

研究の詳細は2025年6月26日付で科学雑誌『Science』に掲載されています。

イカ類は1億年前に既に誕生し爆発的に多様化していた~古生物学を根本から変革するデジタル化石マイニング技術~ https://www.hokudai.ac.jp/news/2025/06/1-21.html
Origin and radiation of squids revealed by digital fossil-mining https://www.science.org/doi/10.1126/science.adu6248

白亜紀のイカ化石はほぼ見つかっていない

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Credit: canva

イカ類は、タコやオウムガイと同じ「頭足類」と呼ばれるグループに属し、無脊椎動物としては異例ともいえる高度な知性とカモフラージュなどの身体能力をもっています。

現代の海では、魚やクジラに匹敵する捕食者として、あるいは反対に多くの海洋生物の餌資源として、海洋生態系の中核的な役割を果たしています。

しかしこの“海の忍者”とも言えるイカ類について、進化の歴史は驚くほどわかっていませんでした。

理由は単純で、イカには殻や骨がなく、化石として残りにくいからです。

特に重要な分類の手がかりとなる「クチバシ」はとても壊れやすく、長いあいだ古生物学の世界ではイカの痕跡は“ほぼゼロ”とされてきました。

これまでに発見されていた白亜紀のイカ化石は、たった1個とされています。

しかもそれは巨大な標本であり、運よく保存された極めてまれなケースでした。

つまり、白亜紀(約1億4500万~6600万年前)の海にイカがいたという証拠は、ほとんど存在しなかったのです。

そのため、従来は「イカの多様化はアンモナイトが絶滅した白亜紀末以降に起こった」という説が定説となっていました。

しかし、イカの仲間はその身体能力からして、もっと早くから生態系に存在していたはずです。

ではなぜ、見つからなかったのか?

その謎を解く鍵となったのが、今回登場したデジタル化石マイニング技術でした。

次ページ新技術で「白亜紀のイカ」を大量発見!

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