従来の記録を61キロも上回る

雷は、雲の中で電荷が蓄積し、それが限界に達したときに一気に放出されることで発生します。
通常の雷はせいぜい数キロから十数キロ程度で、垂直に落ちる「ピカッと一発」のイメージが一般的です。
しかし、今回記録された「メガフラッシュ」と呼ばれるタイプの雷は、性質がまったく異なります。
メガフラッシュは、巨大な雷雲の中を横方向に伝わるもので、その長さは100kmを超えることもあります。
そして2017年10月、アメリカ中部を襲った巨大な雷雨の中で、かつてないスケールのメガフラッシュが発生しました。
その雷は、テキサス州東部を出発し、オクラホマを横断、最終的にはカンザス州にまで到達したのです。
この雷撃は、当時の観測では特定されていませんでした。
しかし、後にジョージア工科大学の研究チームが、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の気象衛星「GOES-16」のデータを再解析したところ、空を這うように広がる長大な電流の軌跡が浮かび上がったのです。
この距離は、従来の世界最長記録だった768km(2020年、アメリカ南部)を61kmも上回っており、WMOの「気象・気候極値アーカイブ」に正式に登録されました。
誤差±8kmを加味しても、世界最長の雷であることは揺るぎません。