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Credit: World Meteorological Organization, American Meteorological Society
geoscience

世界最長の雷を記録認定、テキサス〜カンザスまで829km

2025.08.01 23:00:07 Friday

常識に反するほど長い雷が記録されました。

世界気象機関(WMO)はこのたび、2017年に米国で発生した雷が地表での距離にして実に829キロメートルにもおよぶ「世界最長の雷」として公式に認定されたと発表しました。

その雷は、アメリカ南部のテキサス州から、なんとカンザスシティ近郊までを一撃で駆け抜けたというのです。

これは東京から広島に匹敵する距離であり、飛行機でさえ90分はかかる道のりです。

しかもこの雷撃、当初は誰にも気づかれていませんでした。

観測したのは、地上ではなく宇宙から地球を見守る気象衛星でした。

まるで空に走る“電気の竜”のような存在が、ひっそりと空を駆け抜けていたのです。

World’s Longest Lightning Strike Crossed 515 Miles From Texas to Kansas https://www.sciencealert.com/worlds-longest-lightning-strike-crossed-515-miles-from-texas-to-kansas Megaflash stretching 829km sets new world record for the longest lightning strike https://www.scimex.org/newsfeed/megaflash-stretching-829km-sets-new-world-record-for-the-longest-lightning-strike

従来の記録を61キロも上回る

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最長の雷のイメージ / Credit: ScienceAlert External Sources(youtube, 2025)

雷は、雲の中で電荷が蓄積し、それが限界に達したときに一気に放出されることで発生します。

通常の雷はせいぜい数キロから十数キロ程度で、垂直に落ちる「ピカッと一発」のイメージが一般的です。

しかし、今回記録された「メガフラッシュ」と呼ばれるタイプの雷は、性質がまったく異なります。

メガフラッシュは、巨大な雷雲の中を横方向に伝わるもので、その長さは100kmを超えることもあります。

そして2017年10月、アメリカ中部を襲った巨大な雷雨の中で、かつてないスケールのメガフラッシュが発生しました。

その雷は、テキサス州東部を出発し、オクラホマを横断、最終的にはカンザス州にまで到達したのです。

この雷撃は、当時の観測では特定されていませんでした。

しかし、後にジョージア工科大学の研究チームが、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の気象衛星「GOES-16」のデータを再解析したところ、空を這うように広がる長大な電流の軌跡が浮かび上がったのです。

この距離は、従来の世界最長記録だった768km(2020年、アメリカ南部)を61kmも上回っており、WMOの「気象・気候極値アーカイブ」に正式に登録されました。

誤差±8kmを加味しても、世界最長の雷であることは揺るぎません。

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