雷の脅威
今回の発見を支えたのは、GOES-16やGOES-17などの静止気象衛星に搭載された「静止軌道雷マッパー(GLM)」という観測装置です。
この装置は、地球上の雷を24時間リアルタイムで監視し、その発生場所・範囲・継続時間を精密に記録します。
これまで地上観測装置(LMA)では捉えられなかったような広範囲の雷――メガフラッシュ――も、衛星技術によって明確に捉えられるようになったのです。

今回の雷も、GOES衛星が地上からは見えない雲内部の電流まで追跡したことで、その全容が明らかになりました。
WMOによると、メガフラッシュは特に「メソスケール対流系(MCS)」と呼ばれる大規模な雷雨システムで発生しやすく、アメリカのグレートプレーンズ地域はそのホットスポットとされています。
このような超長距離の雷撃は、航空機にとって大きなリスクであり、また乾燥地帯では山火事の引き金にもなりかねません。
実際、1994年のエジプト・ドロンカでは雷が石油タンクに落ち、469人が死亡する大惨事が発生しています。
雷研究の第一人者ウォルト・ライオンズ氏は「雷の脅威を過小評価してはいけない。屋外にいるならすぐに近くにある屋内に避難すべきです」と警告しています。
特に雷が10km以内に迫っている場合、安全な避難行動をとるまでの猶予は数秒しかない可能性があるのです。