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切断されてもくっつくセンサーとは? / Credit:Rathul Nengminza Sangma(VUB)et al., IEEE Sensors Journal(2025)
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【なぜくっつく?】切断されても自己修復するセンサー (2/3)

2025.08.20 11:30:17 Wednesday

前ページセンサーは壊れやすい。その壁を越えるには?

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切断してもくっつく!? 「自己修復センサー」の仕組みとは?

開発されたセンサーは、2つの主要な素材から成り立っています。

ひとつは、自己修復機能を持つ特殊なポリマー。

これは「Diels-Alder(ディールス・アルダー)反応」と呼ばれる化学反応を利用したものです。

この化学結合には可逆性があり、ダメージを受けると結合が一度切れ、再接触すると再び結合して元の状態に戻ります。

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切断してもくっつくセンサー / Credit:BruBotics(YouTube)_Recyclable self-healing stretchable strainsensor based on liquid metal fr smart wearable application(2025)

研究チームは、実験でこのポリマーでできたセンサーを半分に切断しましたが、室温で約24時間かけて自己修復できることを示しました。

また、センサーを60℃のオーブンに入れて加熱すると、自己修復プロセスが4時間に短縮されることも発見しました。

接着剤や外部の力を使わず、まるで生き物のように元通りになるのです。

別の実験では、センサーがちぎれるまで引き延ばされ、その後修復するというプロセスを6回繰り返しました。

それでも、導電性や機械的強度も初期の80%以上を維持することができたというのだから驚きです。

そしてセンサーに利用されているもうひとつの素材は「Galinstan(ガリンスタン)」という液体金属です。

この金属は常温で液体のまま安定しており、高い電気伝導性を持ちながらも毒性がなく、人体にも安全です。

センサー内部では、ガリンスタンが電気の通り道(回路)として機能しています。

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切断しても自己修復し、電流も再び流れる / Credit:Rathul Nengminza Sangma(VUB)et al., IEEE Sensors Journal(2025)

では、真っ二つに切ってしまった場合はどうなるのでしょうか?

驚くべきことに、切断時に漏れ出すはずの液体金属は、ほとんど失われませんでした。

研究者の解説によると、空気に触れたガリンスタンの表面にはすぐに酸化膜が形成され、それが仮のフタのように働いて液漏れを防ぐというのです。

しかも再び破断面を合わせると、この酸化膜が壊れて再接続され、電流がまた流れるようになるというのです。

まるで人間の体がケガをしても血液が固まって止血されるように、このセンサーも“自己止血”してしまうというわけです。

では、このように開発された新しいセンサーの耐久性はどうでしょうか。

次ページ800回の伸縮テストにも耐える「自己修復センサー」

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