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グルテン過敏症だと感じている人の本当の原因とは? / Credit:Canva
health

”グルテン過敏症”だと思う人の多くは「グルテンが原因ではない」と判明

2025.10.24 17:00:58 Friday

近年、スーパーやカフェ、レストランで「グルテンフリー」という表示をよく見かけるようになりました。

小麦を避けたい人、特にグルテン過敏症(非セリアック・グルテン過敏症、NCGS)と考えられている人にとっては、こうした表示は安心して食事を選ぶための大切な目印です。

しかし、最新の国際研究によって「グルテン過敏症」と考えている人の症状の多くが、実はグルテン自体によるものではないことが明らかになりました。

この研究は、オーストラリアのメルボルン大学(The University of Melbourne)の研究チームによるもので、2025年10月22日に医学誌『The Lancet』に掲載されました。

Gluten sensitivity: It’s not actually about gluten https://www.unimelb.edu.au/newsroom/news/2025/october/gluten-sensitivity-its-not-actually-about-gluten
Non-coeliac gluten sensitivity https://doi.org/10.1016/S0140-6736(25)01533-8

グルテン過敏症とは

グルテンは、小麦や大麦、ライ麦などに含まれるタンパク質の一種です。

パンやパスタ、うどん、ケーキなど、私たちの食生活には欠かせない食材に広く含まれています。

そんなグルテンが体に悪い、というイメージはここ10年ほどで一気に広まり、「グルテンフリー」を選ぶ人が世界中で増えています。

グルテン関連障害には、大きく分けて3つのタイプがあります。

まず一つ目が「セリアック病(CD)」です。

これは、グルテンを摂取することで腸の粘膜に自己免疫反応が起こり、消化吸収障害や慢性的な腹痛、貧血、成長障害などを引き起こす難病です。

血液検査や腸の生検で診断され、生涯にわたる厳格なグルテン除去食が必要であり、米国での罹患率は1%程度と報告されています。

二つ目は「小麦アレルギー」。

これはグルテンだけでなく、小麦に含まれる様々なタンパク質に対してアレルギー反応が起こる状態です。

じんましんや喘息、重症の場合はアナフィラキシーショックを起こすこともあり、やはり小麦製品の回避が必要となります。

そして三つ目が「非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)」です。グルテン過敏症やグルテン不耐性と表現されることもあります。

これはセリアック病でも小麦アレルギーでもないけれど、グルテンを含む食品を食べるとお腹の張りや痛み、疲労感、頭痛、注意力の低下といった症状が現れるというもの。

「自分はグルテン過敏症だ」と考える人は世界の成人の約10%にものぼると言われています。

グルテンフリー市場が世界的に拡大している背景には、自己申告ベースの“グルテン過敏”の人が急増したことも関係しています。

しかし、NCGSは診断のための明確なバイオマーカー(血液検査などでわかる客観的指標)が存在せず、他の疾患を丁寧に除外したうえで、最後に「グルテン過敏症かもしれない」と診断されます。

そこで研究チームは、この曖昧なグルテン過敏症の実態や原因、そして診断や治療の課題を詳しく検証することを目的として、世界中の論文や臨床試験データを総合的に分析しました。

次ページ「グルテン過敏症」と感じる人の多くが勘違い!?明らかになった原因とは

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