理性を重んじるストア派創始者ゼノンの意外すぎる一面

ポンペイ近郊のヘルクラネウムで18世紀に発見された「ヘルクラネウムのパピルス」は、世界で唯一現存する「焼けた図書館」として知られています。
西暦79年、ヴェスヴィオ火山の大噴火によってこの地域は灰に覆われました。
町の人々だけでなく、本棚に収められていた貴重な巻物までもが、一瞬にして約320℃の熱で炭のように黒焦げとなったのです。
普通ならばこのような高温にさらされた紙は完全に燃えてしまいますが、火山灰にすっぽりと覆われ酸素が遮断されたおかげで、焼けきらずに「炭化」という特殊な状態で保存されました。
まるで灰のタイムカプセルに閉じ込められたような状態です。
ただ、この炭化した巻物は、あまりにももろくて扱いが難しいものでした。
18世紀に発見された当時は、巻物を無理やり広げようとすると崩れてしまい、中身の文字が完全に失われてしまう危険があったのです。
古代の知識を読みたい歴史家や研究者たちは、この壊れやすい巻物を安全に読む方法を長年模索してきました。
つまり、「壊さずに、どうやって黒焦げの巻物を読むのか?」という難問を解決する必要があったのです。
そこで、近年では最新の科学技術が使われ始めました。
例えば、近赤外線カメラを使って巻物の表面から僅かに残る文字の痕跡を探したり、X線CTスキャンを用いて巻物を立体的に「仮想的に開く」試みが行われました。
実際に近赤外線カメラを使うことで、一部の巻物では文字が読めるようになり、X線CTでも巻物を開かずに中身の一部を読み取ることに成功しました。
しかし、大きな問題が残っていました。
巻物に使われたインクは紙と同じ炭素でできているため、ほぼ同じ黒色でコントラストが非常に低かったのです。
つまり、「黒い紙に黒い文字が書かれている」という状態で、文字が非常に読みづらかったのです。
もっとはっきり読むには、全く新しいアプローチが必要でした。
この「黒い図書館」の中で特に重要視されていたのが、ストア派哲学の祖ゼノンに関連した巻物でした。
ゼノンは「感情に流されず理性的に生きる」というストア哲学を創始した人物です。
ストア派というと、欲望や怒りに振り回されない冷静な人間を目指す哲学として知られており、後のローマ帝国の皇帝や将軍たちもこの教えに影響を受けました。
しかし、ゼノン自身が書いた『共和国』という書物については、かなり急進的で常識を超えた社会像を描いていた可能性が指摘されており「結婚制度の廃止」「恋人の共有」「貨幣の廃止」「裁判所の廃止」「財産の共有」「男女の完全な平等」「同性愛の容認」といった当時の道徳観では受け入れがたい、かなり目覚めた主張がなされていたとされています。
またそのような主張に対しての批判も多く、フィロデモスのような哲学者からは「道徳的に問題がある」と見なされていました。
ところが肝心の巻物たちが炭化していて、詳細がはっきりとは読めない状態が続いていました。
ストア派の創始者ゼノンが、実際にはどんな大胆な思想を描いていたのか――
それをより正確に知るために、炭化巻物をくっきりと読み取ることが望まれていたのです。

























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