世界の「偽アカウント作成相場」を調べた研究結果が発表【Science誌】
世界の「偽アカウント作成相場」を調べた研究結果が発表【Science誌】 / Credit:Canva
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世界の「偽アカウント作成相場」を調べた研究結果が発表【Science誌】 (2/3)

2025.12.17 21:30:15 Wednesday

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『Science』掲載:偽アカウント相場の核を追え

『Science』掲載:偽アカウント相場の核を追え
『Science』掲載:偽アカウント相場の核を追え / Credit:Canva

偽アカウント作成の核となるSMS認証はいくらで取引されているのか?

研究チームはまず197か国・500超のオンラインサービスについて「SMS認証に必要な価格」と「販売在庫数」を約1年間に渡り毎日、詳細に調査しました。

その結果、国ごとの偽アカ作成コスト(SMS認証価格)の相場が明らかになりました。

平均価格が最も高かったのは日本で1件あたり約4.93ドル、次いでオーストラリアが3.24ドル、トルコが2.54ドル、マルタが2.18ドルでした。

一方、米国は0.26ドル、イギリス0.10ドル、ロシア0.08ドルと極端に低価格でした。

つまり日本でSMS認証を100回分そろえようとすると平均で500ドル近くかかりますが、ロシアではわずか8ドル程度で済む計算です。

なぜ日本と米英露でこれほど差が開いたのでしょうか。

調査によると、背景にはSIMカード価格と規制の違いがあるようです。

日本で(物理)SIMカードを購入しようとすると最低でも約30ドル(数千円)はします。

また日本ではSIM購入時に住所確認など厳格な本人確認が必要で、誰もが気軽に大量のSIMカードを買える状況にはありません。

こうした要因から日本国内の電話番号は供給が限られ、結果としてSMS認証の価格も高くなりやすいと考えられます。

研究チームも、SMS認証のコストはSIMカードのコストと強く関係しており、規制のしかたが市場価格に影響し得ると述べています。

いずれにせよ、同じ回数のSMS認証でも、国によって必要な費用が大きく変わる、というのが今回の要点です。

さらに興味深いことに、この1年の調査期間中に世界各地で行われた国政選挙(61件)では、選挙前に一部のプラットフォームでSMS認証価格が上がる現象も確認されました。

特にテレグラムやワッツアップといったメッセージアプリでは、選挙の直前30日間に価格が上がる傾向が見られ、ワッツアップは確かさがやや弱いものの、同じ方向の動きが報告されています。

研究チームはこの理由について「選挙前に現地の番号への需要が高まった可能性がある」と説明しています。

これらの結果は、民主主義国家においては選挙の影に常に「他国の偽アカウント」が暗躍している可能性を示すものと言えるでしょう。

次ページ相場を把握すれば「対策の効果」も検証できる

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