13歳の少年が見つけた「失われた海」
1905年、そんな洞窟を遊び場にしていた少年ベン・サンズは、ある日、壁の奥に続く未知の隙間を見つけます。
その穴は、自転車のタイヤほどの大きさしかなく、洞窟探検の常識から見れば、決して進むべき場所ではありませんでした。
しかし少年は、その狭いトンネルを約12メートルも這って進み、突然、足元が抜ける感覚を味わいます。
彼が落ちた先に広がっていたのは、膝の高さまで水がたまった、巨大な地下空間でした。松明の光では、反対側の壁がまったく見えません。
少年は空間の広さを確かめようと、四方八方に泥団子を投げましたが、返ってくるのは水面に落ちる音だけでした。
こうして発見されたのが、後に「ロスト・シー(失われた海)」と呼ばれる地底湖です。
その後、洞窟内は発破によって拡張され、現在では観光用に整備されています。
湖の見える範囲だけでも、長さ約243メートル、幅約67メートル、水深は少なくとも約21メートルに達します。
ダイバーによる調査では、水中に続く空間を含め、5.2ヘクタール以上が確認されていますが、湖の全貌はいまだ解明されていません。
現在、この地底湖は「ロスト・シー・アドベンチャー」として公開され、年間およそ15万人が訪れています。
地底湖への探検映像はこちら。
湖には約300匹のニジマスが放流されており、長年暗闇で暮らすうちに、視力や体色の一部を失っていることも知られています。
この地底湖の発見は、科学的な探査計画や大規模な調査から生まれたものではありません。
きっかけは、洞窟に慣れ親しんでいた13歳の少年の、純粋な好奇心でした。
地下約43メートルに広がる巨大な湖は、100年以上たった今も、その全貌を明かしていません。
人類が自然のすべてを知り尽くしていないことを、この1905年の出来事は静かに教えてくれます。
身近な場所にも、まだ「失われた世界」は眠っているのかもしれません。























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