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銅の3倍の熱伝導率をもつ「θ-TaN」発見 / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
science

「銅の3倍」の熱伝導率をもつ”常識を覆す金属材料”を発見 (2/2)

2026.01.29 11:30:51 Thursday

前ページ銅の熱伝導率の限界をはるかに上回る金属材料を発見

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「銅の3倍」を実現した新しい金属材料「θ-TaN」

研究チームが実験的に実現したのは、「θ-TaN」と呼ばれる金属材料です。

これはθ相(シータ相)という特殊な結晶構造の窒化タンタルです。

このθ-TaNの熱伝導率を測定したところ、室温で約1,100 W/mKという値が得られました。

これは銅や銀のほぼ3倍にあたります。

金属としては、常識はずれの熱伝導率です。

では、なぜこれほど高い熱伝導率が実現したのでしょうか。

研究チームは、その理由を複数の実験手法で詳しく調べました。

まず、この材料では電子とフォノンの相互作用が極めて弱いことが確認されました。

つまり、電子が原子の振動とあまりぶつからないのです。

電子が原子の振動に邪魔されにくいため、熱を効率よく運べる状態になっています。

さらに、原子の振動のエネルギーの並び方に特徴があることも分かりました。

振動の種類どうしのあいだに大きな“段差”ができていて、そのおかげで振動どうしがぶつかりにくい構造になっていたのです。

これにより、振動が運ぶ熱も減速しにくくなります。

つまりθ-TaNでは、電子とフォノンのどちらも「足止めされにくい」状態が同時に成立していました。

この二重の効果が、金属としてこれほど高い熱伝導率を生み出していると考えられています。

研究チームは、この材料が将来、AI用のチップやデータセンターのサーバー、航空宇宙機器、量子コンピューターなど、特に発熱が大きい分野で役立つ可能性があるとしています。

この研究は、「金属の熱伝導には限界がある」という長年の常識を見直すきっかけとなる成果です。

放熱材料の設計思想そのものを変えるかもしれない大きな発見だと言えるでしょう。

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「銅の3倍」の熱伝導率をもつ”常識を覆す金属材料”を発見 (2/2)のコメント

ひろき

電気抵抗値はどうなんだろうか???

鈴木

「単価の高い希少金属のタンタルを原料として、窒化タンタルとして特殊な結晶構造をとらせる」と聞くと、純銅と比べてそれなりに単価が高くなりそうです。
銅のヒートシンクのように反対側を空冷用のフィンにするよりも、水冷か油浸にしないと、材料費が嵩みそうです。

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