女性は「見知らぬ犬」に話しかけるとき、より声が高くなる

この疑問に答えるために、研究者たちはまず、女性の飼い主42人に協力してもらい、自分の犬と見知らぬ犬の両方に話しかけてもらいました。
ここで重要なのは、ただ犬に話しかけてもらうのではなく、「どんな場面で話すか」まで細かく分けている点です。
しかも、見知らぬ犬はただの別の犬ではなく、飼い犬と同じ犬種になるようにそろえ、話す人は犬と同じ目線になるよう床に座り、できるだけ条件を公平にそろえていました。
具体的には、犬の注意を引く場面、簡単な遊びのような課題を行う場面、そして童謡を語りかける場面という3つの状況が用意され、それぞれで声の特徴と顔の動きが記録されました。
その結果、まず最初に見えてきたのは、非常にシンプルでありながら印象的な違いでした。
女性たちは、自分の犬に話しかけるときよりも、見知らぬ犬に話しかけるときのほうが、平均すると約9ヘルツほど高い声を使っていました。
ここでいう「声が高い」というのは、一瞬だけ上がるという意味ではなく、話しているあいだ全体の平均的な高さが上にずれているということを指します。
つまり人は、知らない犬に向かうと、無意識のうちに“声のベースライン”そのものを引き上げているようなのです。
一方で興味深いことに、顔の表情については、この「知っているかどうか」の違いはほとんど影響しませんでした。
つまり、声の使い方は変わるのに、表情はあまり変わらないという、少しアンバランスにも見える結果が出ています。
さらに、もうひとつ見逃せないのが「場面の違い」の影響です。
犬の注意を物に向けさせるような場面では、声の高さはむしろ控えめになり、あまり高くなりすぎない傾向がありました。
研究チームは、声が高すぎると犬の注意が人の顔に向いてしまい、物に集中しにくくなる可能性があると考えています。
一方で、簡単なゲームのような場面では、声の上下の動きが大きくなり、まるでメロディのように変化する話し方が多く見られました。
さらに童謡を語る場面では、とくに顔の動きがいちばん活発になり、笑顔に近い表情が強く現れました。
そしてもうひとつ、読んでいて思わずうなずいてしまう結果もあります。
それは、小さな犬に対しては、声の上下の幅がより大きくなり、表情もより豊かになる傾向があったという点です。
いわば、人は小さな犬を前にすると、より“かわいいものに向けたモード”に入りやすいように見えるのです。
論文では、この中でも特に「少し高い声」が重要な役割を持っている可能性が指摘されています。
見知らぬ相手に対して、敵意がないことや友好的であることを伝えるために、種を超えて通じやすいサインとして使われているのではないか、という考えです。
一方で、顔の表情があまり変わらなかった点については、人間にとっては笑顔でも、犬にとっては別の意味に受け取られる可能性があるため、無意識に抑えられているのかもしれないと解釈されています。
しかし人間はこのような器用な使い分けをどうやって身に着けたのでしょうか?


























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