寝たきりだった女性、一度の点滴で「元気になった」と判明――3つの難病が同時に寛解
寝たきりだった女性、一度の点滴で「元気になった」と判明――3つの難病が同時に寛解 / Credit:Canva
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寝たきりだった女性、一度の点滴で「元気になった」と判明――3つの難病が同時に寛解 (4/5)

2026.04.15 18:00:28 Wednesday

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免疫系を「リセット」するという発想

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Credit:Canva

ここまで読んで、あなたはこう思うかもしれません。

「B細胞を全部片付けてしまって、風邪もひき放題になるんじゃないの?」

この治療が素晴らしいのは、まさにそこです。

人間の免疫系には、過去にかかった病気やワクチンの記憶を、B細胞とは別の場所にしまっておくしくみがあります。

幼い頃に受けた麻疹のワクチンの記憶、インフルエンザを乗り越えたときの抗体、それらは「形質細胞」という別の細胞に保存されていて、骨髄の奥で静かに眠っている。

この細胞はB細胞の目印(CD19)をほとんど持たないため、CAR-Tの攻撃対象から外れるのです。

つまり、暴走していた古い世代のB細胞は一掃される一方で、過去の感染やワクチンの思い出はそのまま残る。

そして数か月経つと、骨髄から新しいB細胞が生まれてきます。

この新品のB細胞たちは、まだ誰の顔も覚えていない、真っ白な状態の新入社員です。

実際、この女性の場合、治療から322日目に再登場したB細胞の98%が、この「まだ何も知らない新入社員」状態でした。

これを医師たちは「B細胞の深いリセット」と呼んでいます。

彼女の三つの病気はどれも、違うB細胞が違う指名手配書を刷っていたせいで起きていましたがB細胞がほぼ刷新されたせいで、それが収まったわけです。

気になる副作用も、CAR-Tでよく問題になる急性の重いものは目立ちませんでした。

CAR-T療法ががん治療で使われるとき、しばしば問題になる副作用があります。

大量のがん細胞が一気に死ぬと、体が激しい炎症反応を起こし、高熱や血圧の低下、臓器障害を起こすことがあるのです。

「サイトカイン放出症候群」と呼ばれるこの副作用は、時に命に関わります。

ところが、自己免疫疾患の治療で使う場合、相手にする細胞の数がずっと少ない(がんのように膨大な数の異常細胞を相手にするわけではない)ため、この副作用がほとんど出ないのではないかと研究者は考えています。

実際、この女性にも、よく話題になるサイトカイン放出症候群も、脳の副作用も、まったく起きませんでした。

ただし治療後には、肝機能の数値上昇と、白血球の減少もみられています。

著者らは、長年の輸血による鉄過剰や、それまで受けてきた治療の影響が有力な原因だと考えています。

毎日3パックの輸血を何年も続ければ、体は鉄過剰になるのは自然でしょう。

論文の著者たちも「鉄過剰や過去の治療の副作用を避けるには、もっと早い段階でB細胞を根本から叩く治療に踏み切るべきだろう」と書き添えています。

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