忘れられていた赤い線は「ただの汚れ」ではなかった
ベーコン・ホールは、石灰岩の崖の中にある洞窟です。
問題の赤い線模様の痕跡は、洞窟の奥深くにある壁面に残されていました。
そこには、11本ほどの水平な赤い線が並んでおり、発見当初は「旧石器時代の洞窟壁画」として大きな注目を集めました。
【実際の画像がこちら。画面右は線模様を見えやすくイメージ化したもの】
しかし、当時の調査では現在のような精密分析はできません。
そのため、線の正体をめぐる議論は決着せず、やがて「自然にできた模様かもしれない」という見方が優勢になっていきました。
今回の研究チームは、2022年から2024年にかけて洞窟を調査し、高解像度撮影や画像強調技術を使って赤い痕跡を詳しく観察。
さらに、壁面から微小な試料を採取し、化学組成を分析しました。
その結果、赤い物質はヘマタイトという天然の酸化鉄顔料であることが分かりました。
ヘマタイトは、古代の赤色顔料として世界各地で使われてきた物質です。
チームは、この赤い痕跡について、単に岩から染み出したものではなく、人間が意図的に塗布したものと考えられると結論づけています。
特に重要なのは、線がまとまった形で並び、等間隔に近い配置を持っていることです。
さらに画像処理では、指で付けた点のような痕跡や、顔料が飛び散ったような跡も確認されました。
これらは、洞窟の壁に人間が顔料をつけた行為を示す手がかりになります。
つまり、ベーコン・ホールの赤い線は、偶然できた岩の模様ではなく、旧石器時代の人々が暗い洞窟の奥に残した表現だった可能性が高いのです。



























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