灯りに照らされた蚊は「夏モード」のまま血を吸う期間が伸びる――温度よりも光
灯りに照らされた蚊は「夏モード」のまま血を吸う期間が伸びる――温度よりも光 / Credit:Canva
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灯りに照らされた蚊は「夏モード」のまま血を吸う期間が伸びる――温度よりも光 (2/2)

2026.06.04 17:00:32 Thursday

前ページ蚊の中には冬を生き延びるものもいる

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灯りの下の蚊は「夏モード」のままだった

灯りの下の蚊は「夏モード」のままだった
灯りの下の蚊は「夏モード」のままだった / Credit:Canva

研究チームはオハイオ州コロンバスの住宅・学校・教会などの明かりが異なる敷地で蚊を飼育し、その行動を調べてみました。

結果は、暗い場所で育った蚊は、10月にはなんと全員が冬ごもりに入た一方、灯りの下で育った蚊で冬ごもりに入ったのはわずか4割ほど。

残りのおよそ6割は冬支度をしないまま、いつでも活動できる状態にとどまっていたのです。

しかも9月の実験ではを浴びた蚊のおよそ7割が血を吸い、10月という遅い時期になっても、灯りの下で吸血した一部の蚊は卵を産み、その卵は孵りました。

灯に晒された蚊たちは、まるで夏モードを解除し忘れたかのように、繁殖する力まで温存していたのです。

意外だったのは、その灯りの弱さです。

直感的には、煌々と照らす街灯でなければ影響はなさそうに思えます。

ところが今回扱われた中でいちばん弱い光は、わずか0.87ルクス。

これは満月の夜空(およそ0.1〜0.3ルクスとされます)よりは明るいものの、本を読むにはまるで足りない、ほのかな明るさです。

それでも蚊の暦を狂わせるには十分でした。

ただ蚊の活動時間を伸ばす要因としては、温度も考えられます。

たとえば都市が郊外より暖かくなる「ヒートアイランド現象」などが有名でしょう。

そこで研究チームは灯りと暑さを、同じ実験の中で真正面から対決させました。

結果は、光の圧勝でした。

蚊は秋の終わりになっても夏モードのままだったのです。

とくに9月の休眠入りの時期では、光が暑さの効果を大きく上書きするように見えたのです。

都市の暑さをまず疑いたくなる場面で、「いや、それより灯りだ」という答えが出たわけです。

(※もっとも灯があっても、さすがに真冬まで夏モードでいられるわけではありませんでした)

蚊が長く活動すれば、それだけ人を刺す機会が増えます。

この研究の舞台であるアメリカでは、イエカが運ぶ「ウエストナイルウイルス」の感染ピークがちょうど夏の終わりから初秋にかけて訪れます。

もし蚊の”営業時間”が秋の深くまで延びれば、この感染リスクの季節も後ろへずれる可能性があります。

さらに冬までにもう一世代ぶん蚊が増えてしまえば、翌春のスタート時点の個体数が底上げされ、夏に向けて数がふくらんでいく可能性があります。

この研究の舞台であるアメリカでは、イエカが運ぶ「ウエストナイルウイルス」の感染ピークがちょうど夏の終わりから初秋にかけて訪れます。

もし蚊の”営業時間”が秋の深くまで延びれば、この感染リスクの季節も後ろへずれる可能性があります。

さらに冬までにもう一世代ぶん蚊が増えてしまえば、翌春のスタート時点の個体数が底上げされ、夏に向けて数がふくらんでいく可能性があります。

蚊が長く活動し、増えた蚊がさらに病気を運ぶ。

光害の強い地域では、知らないうちに光の影響が雪だるま式にふくらんでいくおそれがあるわけです。

秋風が立ち、ようやく蚊の季節が終わったと安堵するとき――あなたの玄関灯の下では、まだ夏が続いていると信じている蚊が、静かに飛んでいるかもしれません。

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