机やスマホの手触りも味に関係する?
さらに興味深いのは、この効果がカップに限らなかったことです。
チームはその後の実験で、参加者がカップを持つ手とは反対の手で、机の上に置かれた紙やすりやクラフト紙に触れながらコーヒーを飲む条件も調べました。
すると、カップやスリーブとは無関係の物体に触れている場合でも、さらさらした手触りはコーヒーの酸味を弱める方向に働くことが示されました。
これは、私たちがコーヒーを飲むとき、カップだけでなく、周囲にある物体の手触りにも影響を受けている可能性を示しています。
たとえば、カフェのテーブル、メニュー表、スマートフォン、ノート、PCのキーボードなどです。
もちろん、今回の研究は「スマホを触れば必ずコーヒーの味が変わる」と断定するものではありません。
しかし、飲んでいる瞬間に同時に触れているものの質感が、味覚体験に関わる可能性を示した点で重要です。
実際、別の実験では、手触りを感じるタイミングとコーヒーを口に含むタイミングがずれると、この効果は消失しました。
つまり、触覚と味覚は、同時に体験されているときに結びつきやすいと考えられます。
チームは、この現象について、「ざらざらした感覚」と「強い酸味」、「さらさらした感覚」と「弱い酸味」が、心の中で結びついている可能性を指摘しています。
このような感覚同士の結びつきが、実際の知覚に影響したと考えられるのです。
この発見は、カフェや飲料メーカーにとっても興味深いものです。
近年では、リユースカップや環境配慮型スリーブなど、飲料容器の素材にも注目が集まっています。
しかしそれらは、単に見た目やブランドイメージを作るだけでなく、飲み物の味わい方そのものに関わるかもしれません。
今後は、カップやスリーブだけでなく、テーブル、包装、持ち歩くマイカップなども含めて、「飲む体験」を感覚全体からデザインする発想が広がっていく可能性があります。
コーヒーの味は、豆や抽出だけでなく、手のひらの上でも静かに変わっているのかもしれません。





























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