Credit:OpenAI,ナゾロジー編集部
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「食べると小人が見える」中国の幻覚キノコ、未知の幻覚成分だった (2/2)

2026.06.21 17:00:28 Sunday

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ネット販売されているキノコも分析してみた

一般的なマジックマッシュルームなどの幻覚は、視界が歪んだり幾何学的な模様が見えたりする抽象的なものが大半です。

それに対して、ランマオア・アジアティカが引き起こす症状は、小人が動き回り、こちらの環境と相互作用しているように見えるという、具体的で立体的な映像が特徴です。

そのため、患者に共通する具体的な幻覚症状と、既知の幻覚成分と関連する「遺伝子」が見つからなかったという事実から、今回の研究は問題のキノコ人類にとって未知の幻覚成分を含んでいる可能性を示しました。

しかし、今回の研究は、そんな学術的な発見だけでは終わりませんでした。もっと身近な問題で驚くべき発見もしているのです。

「ランマオア・アジアティカ(見手青)」は、シイタケやエノキタケのように人工的に栽培することができません。その理由は、このキノコが「外生菌根菌(Ectomycorrhizal fungi)」であるためです。

外生菌根菌とは、マツタケやポルチーニのように、生きている樹木(マツやナラ・カシ類など)の根の周囲に菌糸を広げ、樹木と栄養をやり取りしながら共生するキノコを指します。

こうした種では、死んだ木を分解して育つ一般的な栽培キノコとは異なり、生きている木を必要とするため、工場などで人工栽培することが極めて難しくなります。

そのため市場に出回る「見手青」はすべて、地元のキノコハンターたちが森の中で一つずつ手作業で収穫した野生のものに限られるのですが、このキノコは非常に人気が高く、ネット上でも世界的に広く商業取引されています。

研究チームは、完全に野生に頼っているにも関わらず、流通量が非常に多いことから「本物のキノコが消費者に届いているのか」という新たな疑問を抱きました。

そこで、インターネット通販や現地の市場で「乾燥・見手青」として一般向けに市販されているパッケージを購入し、そのキノコのDNAを分析する追跡調査を行ったのです。

すると、市販のパッケージには、ランマオア・アジアティカではなく、外見がそっくりな別の「有キノコ」が含まれている場合が多いことが判明したのです。

これは販売者が意図的に詐欺を行ったというよりは、キノコが野生でしか入手できないため、採集担当が誤って別の有毒キノコを混入してしまった可能性が高いと考えられます。

人工栽培できないキノコの販売では、こうしたリスクが伴います。

今回の研究はキノコを遺伝子レベルで分析していたため、こうしたキノコ販売の実態も一緒に明らかにしたのです。そのため皆さんも野生のキノコの販売には十分注意した方が良いでしょう。

なお、今回の研究は、未知の幻覚成分が何なのかを特定したわけではありません。あくまで遺伝子解析によって、ランマオア・アジアティカには既知の幻覚成分は見つからないことを明らかにしただけです。

そのため研究チームは現在、このキノコから抽出した成分を細かく分け、マウスの行動変化を手がかりに、生理活性をもつ成分の特定を目指していますが、まだ明確な答えは出ていません。

もし、未知の成分が特定でき、どのような化学構造を持っていて、人間の脳のどの部分を刺激しているのかがわかれば、小人の幻覚がどのように起きるのかだけでなく、私たちがどのように外界を認識し、視覚的なイメージを生み出しているのかという神経科学的な謎にも迫れるかも知れません。

見手青(中国語表記では「见手青」)には、青変性イグチ類を指す場合がありますが、本記事においてはL. asiaticaのみを指しています。

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