最後まで見たショート動画で認知制御領域が静かになった
最後まで見た動画を視聴している間、dACCとdlPFCはいずれも明確な活動低下を示しました。
早い段階で飛ばした動画では、dACCの活動に基準状態との有意差は見られず、dlPFCでは活動低下が確認されました。
また、映像を処理する一次視覚野は、どちらの動画を見ているときにも活性化していました。
視覚情報の処理を続けながら、行動の監視や意識的な制御に関わる領域の活動が選択的に下がっていたと考えられます。
研究チームは、娯楽性の高い動画を受動的に見る場面では、難しい判断や葛藤を処理する必要性が比較的低いため、認知制御ネットワークへの要求が下がった可能性を指摘しています。
映画やゲームに夢中になり、時間の感覚や自分への意識が薄れる「フローに近い状態」とも整合する説明です。
今回の活動低下は、あまり力を使わずに動画に夢中になっているときに起こる、脳の働きの変化を表している可能性があります。
こうした結果から、ショート動画は自然と強く引き込まれやすく、その間は自己制御に関わる働きが一時的に弱まる可能性があるといえます。
さらに、安静時のdACCに含まれるグルタミン酸濃度が高い人ほど、動画視聴中のdACCの活動低下が弱い傾向も見つかりました。
一方、GABAとdACCまたはdlPFCの活動との間には、有意な関連が確認されていません。
今回の測定対象は動画を視聴している最中の脳活動です。
視聴後の集中力や長期的な自己制御への影響、問題的な利用との関係は、今後の検証課題として残されています。
それでも今回の結果は、人がショート動画へ没入するとき、認知制御を支える脳活動が一時的に低下することを示しました。
この脳内変化が、日常で感じるショート動画の「やめにくさ」とどう結び付くのか、さらなる研究が待たれます。






























