ゴリラの好奇心は「ペットを飼う行動」につながるのか
こうした異種動物への関心を見ると、「ゴリラも別の動物をペットのようにかわいがることがあるのでは?」と考えたくなるかもしれません。
実際、野生動物の世界では、種の違う動物どうしが親密な関係を築くケースが報告されています。
たとえば、
・クロスジオマキザルの群れがマーモセットの幼獣を受け入れた事例
・ヒョウの子どもをライオンの母親が世話したケース
・メスのイルカがカズハゴンドウ(マイルカ科の一種)の子どもと行動を共にした例
などが知られています。
霊長類でも、異なる種どうしが毛づくろいをしたり、一緒に遊んだり、相手を抱えて運んだりする行動が観察されています。
しかし、こうした行動をそのまま人間と同じ意味で「ペットを飼っている」と解釈することには慎重になる必要があります。
霊長類における異種間交流を検討したレビュー研究でも、こうした行動にはペット飼育と似た部分があるものの、人間が行うような意味でのペット飼育と呼ぶには証拠が十分ではないとされています。
研究を率いたシリル・グリューター(Cyril Grueter)氏は、異種への毛づくろいや遊びといった行動そのものはペット飼育ではないものの、人間と動物の親密な関係が進化するうえでの「構成要素」の一部だった可能性を指摘しています。
つまり、今回のゴリラたちも、カメレオンを「飼いたい」と考えていたと判断できるわけではありません。
映像から確実に言えるのは、小さく見慣れない生き物に対して強い注意を向けながら、危害を加えることなく観察していたということです。
私たちは「好奇心」を人間らしい性質として捉えがちですが、未知のものに近づき、よく観察し、相手の動きを追い続ける行動は、ほかの霊長類にも見ることができます。
今回の映像は、そのことを非常に分かりやすい形で見せてくれたと言えるでしょう。
巨大なゴリラたちに囲まれた小さなカメレオンにとっては、とても落ち着ける状況ではなかったかもしれません。
それでも、何倍もの大きさの動物たちが手荒なことをせず、ただ不思議そうに見つめ続ける姿には、野生動物の持つ豊かな好奇心が垣間見えます。
森の中で偶然出会った「正体不明の小さな生き物」は、若いゴリラたちにとって、それだけ目を離せない存在だったようです。
































