「水がめ」になる空洞とシリカに、理由があるとみる

研究チームは、いくつかの効き目が重なっているとみています。まずは空洞。
炭の粒は小さな穴だらけで、水を吸い込んでは固まる間に少しずつ放せる、という説明です。
放した水がセメントを固く強くする化学反応に回り、粒が内側の小さな水がめとして働く、というのが研究チームの見立てです。
もうひとつはシリカ。
炭に多く含まれ、セメントが固まるときにできる化合物と反応して、強さのもとになるケイ酸カルシウムを増やしうるとされます。
細かい粒がすき間を埋め、材料どうしの詰まりと結びつきを良くする効果も挙げられています。
顕微鏡でも、違いが見えた。
5%の配合は通常より緻密で、粒どうしが固く結びついた構造でした。
15%では逆に、穴やひび、うまく結びついていない部分が増えていました。
炭を増やすほど、コンクリートに含まれる重金属の濃度は下がったとも報告されています。
有害な物質が溶け出すのを抑えられる可能性があります。
残るのは、実際の環境。
凍結と融解の繰り返し、塩分、極端な温度にどこまで耐えるかは、これから調べる必要があると研究チームは述べています。
【これまでの研究】
廃棄物を蒸し焼きにして作る炭を、セメントの代わりに使う試みは以前からあります。
ただ、どれだけ入れ、どれだけ細かくするのがよいかは、まだはっきりしていないとされています(関連研究)。
オークランド大学の研究チームは以前に、家きんの敷料、もみ殻、製紙工場の汚泥から作った3種類の炭を、それぞれ全体積の1%までセメントと置き換えて調べています。
用意した試験体は、168体。
家きんの敷料の炭ともみ殻の炭を0.1%入れた配合で、曲げ強度が対照より20%高くなりました。
製紙工場の汚泥の炭を0.1%入れた配合は、ほかの炭入りより圧縮強度が対照に近い値でした。
ごく少量でも性質を良くできる可能性がある、というのがその結論です(関連研究)。
トイレで流したものが、建物を支える材料になる。
その筋道の確かめはこれからですが、処理施設に集まる汚泥の行き先を変える見方が、ひとつ増えました。
朝の一仕事にも、これで少し値打ちが出ました。






















