ドライヤーとヘアケア用品で「ナノ粒子」が発生しているかも
多くの人は、車の排気ガスや工場の煙を吸ってしまわないように意識しています。
しかし、家庭内で生じる化学ナノ粒子の存在は見逃しているかもしれません。
近年では、家庭内で使うケア製品が、室内空気の質に与える影響が注目されています。
特に、整髪料とヘアアイロンやドライヤーといった熱を伴う器具を同時に使うことで、揮発性有機化合物(VOC)が大量に空気中に放出される可能性があると指摘されてきました。
2023年にパデュー大学が行った前段階の研究では、整髪料から発せられるVOC成分が空気中に広がる様子を質量分析装置で測定し、その問題を明らかにしました。
しかし、それらの化学物質が本当に粒子化して、肺にまで到達するのかどうかについては分かりません。
そこで、今回の2025年の研究では、「日常的な整髪習慣がどれほど多くのナノ粒子を発生させ、私たちがどれほど吸い込んでいるか」を実験で詳しく調べることにしました。
研究チームは、実際の生活環境に近い形で整髪を再現するため、実験用の小型住宅を使用しました。
被験者は合計7名(男性・女性)で、それぞれが普段使っている整髪料(クリーム、スプレー、美容液など)とヘアアイロン、カールアイロン、ドライヤーを持ち込みました。
合計21回のスタイリングセッションが行われ、道具の表面温度は一般的な150℃〜230℃に設定されています。
その間研究チームは、ナノ粒子測定器)や化学成分測定装置を使って、空気中に含まれるナノ粒子の数と種類、そしてそのサイズ分布をリアルタイムに測定しました。
また、呼吸によってどのくらいの量が肺に沈着するかも、粒径と呼吸モデルに基づいて計算されました。