チューリッヒは2倍以上、でも田舎と山は「同じくらい」

測定した場所は5つ。
チューリッヒ、デューベンドルフ、マガディーノ、パイエルン、そしてジュラ山脈のショーモン山です。
都市、郊外、農村2か所、山地という顔ぶれ。
2024年5月から2025年5月まで、4週間ごとに試料を集めました。
集めたのは、雨や雪が空気中の粒子を洗い落とす「湿性沈着」と、重力で粒子が落ちてくる「乾性沈着」の両方です。
都市のチューリッヒでは、1平方メートルあたり1日平均881個の粒子が降っていました。
ほかの4地点は249〜331個で、都市よりはっきり少なく、しかも互いによく似た値でした。
人口の密度、交通、屋外のプラスチック製品を考えれば、チューリッヒが2倍以上になるのは驚きではありません。
研究チームが予想外だったのは、大都市の外での値の近さでした。
人の多い場所に近いほど高いと予想していたのに、そうした差は見えなかった、と研究チームは述べています。
大気中のマイクロプラスチックは都市だけの現象ではなく、人の少ない地域にも届いていることを示唆する結果です。
重さで見ると、都市では1平方メートルあたり1日53マイクログラム、ほかの地点は13〜21マイクログラムでした。
粒の数から、どうやって「トン」を出したのでしょうか。
粒子を1つずつ「赤外線」で見分け、重さに換算した

分析に使ったのは、3つの研究機関が共同で使う粒子の実験室。
集めた粒子をフィルターの上に載せ、赤外線の顕微分光という方法で画像として分析します。
怪しい粒子だけを調べるのではなく、無作為に選んだフィルターの領域を点ごとに自動で走査する手法を、研究チームは開発しました。
これで、どの粒子が本当にプラスチックで、どの種類なのかを判定できました。
赤外線のスペクトルをポリマーの参照データと照合するのですが、区別しにくい組み合わせもあります。
そのため一部の種類は、まとめて1つの分類として報告しています。
最も多かったのはPET(ペットボトルなどに使われるポリエチレンテレフタレート)の仲間で31%、次いでポリエチレンの仲間が26%、ポリプロピレンが21%。
ポリエチレンとポリプロピレンは最も広く使われるプラスチックで、包装やフィルム、容器、日用品に入っています。
重さは、粒子1つ1つの2次元の寸法から楕円体の体積を求め、種類ごとの密度を掛けて計算しました。
処理の途中で失われる分は標準の粒子で補正し、空試料に混ざる分も差し引いています。
年間219トンという量は、この沈着率と土地利用の統計から求めた推計です。
大気を通じたプラスチックの移動は、以前の研究でも示されてきました。
ただ、手法や対象の粒径がまちまちで結果を比べにくかったため、研究チームはスイスのデータを、できるだけ信頼できる方法でそろえることを目指しました。
空から降るプラスチックは、都会の空の話ではなく、山の上の空気の話でもありました。
山小屋の洗濯物が乾く間にも、1平方メートルに数百個が降ってくる計算です。





















でもその山小屋の洗濯物から出てるんじゃないの、微小プラスチック