化石の歯を「温度計」にする方法

使われたのは「クランプト同位体温度計」(重さのちがう原子=同位体どうしのくっつき方から温度を読み取る方法)と呼ばれる方法です。
材料にするのは、歯の表面にあるエナメル質です。
エナメル質の中では、炭素と酸素の原子がつながっています。
そのつながり方のパターンを細かく測ると、エナメル質の鉱物ができたときの温度が分かるのです。
研究チームは、こうして出した温度をTレックスの体温として読み取りました。
イーグル氏は「これまで誰も、こんなふうに温度を測ることはできなかった」と話しています。
とはいえ、化石は長いあいだ土の中に埋まっていたものです。
もし埋まったあとに中身が変わっていたら、測った値は生きていたころの体温を映していないことになります。
そこで研究チームは、歯が元のままかどうかを、いくつもの別々のやり方で確かめました。
まず、エナメル質は骨などにくらべて、とても長い年月がたっても元の成分を残しやすいことが知られています。
次に、同じ地層の化石があとから変わったのなら、どれも同じように変わっているはずです。
ところがTレックスとワニの歯では温度がはっきり分かれていて、まとめて上書きされたとは考えにくい結果でした。
しかもこの差は、今の大きな哺乳類とワニを同じ方法で測ったときの差ともつじつまが合っていました。
同じ歯のエナメル質と内側の象牙質をくらべると、中身の組み合わせがはっきりちがっていました。
これは、結晶の細かい象牙質が変わってしまっていても、エナメル質まで変わっているとは限らない、という見方と合う結果です。
赤外線を使って成分を調べる分析でも、化石の歯は今のアリゲーター(ワニの仲間)の歯に近く、以前に報告された、化学的に変わってしまった試料とはちがっていました。
エナメル質にふくまれる炭酸塩の量も今の爬虫類のエナメル質とよく合っていて、外から余計なものが入った様子はありませんでした。
気になる点が1つだけあります。
酸素を使った別のチェックで、ワニの歯2本が、よく残った試料の目安より高い値を示したのです。
ただ、このチェックは食べ物や季節、体温などの影響がよく分かっておらず、当てになるのか疑問も出ている方法です。
そのため研究チームは、これをワニの歯が変わってしまった確かな証拠とはみていません。
全体として研究チームは、埋まったあとに歯が変わったはっきりした証拠は見つからなかった、としています。




























