おへその匂いで健康な人と患者が分かれた

おへその匂いで病気がわかるのか?
答えを得るため研究者たちはパーキンソン病の患者6人、認知症に進むことのある軽度認知障害の患者6人、新型コロナの患者6人、そして健康な人6人を集めました。
そして鼻の穴の入り口、耳のくぼみ、おへその3か所を、滅菌した綿棒でおよそ10秒ずつぬぐいました。
におい成分の分析にあたってはレーザー光音響分光法(LPAS)という技術が使われました。
レーザー光音響分光法(LPAS)とは?
日なたに置いた黒いTシャツはすぐ熱くなりますが、白いTシャツはそれほど熱くなりません。色によって、光をどれだけ吸い込んで熱に変えるかが違うからです。匂いの分子にも、これとよく似た性質があります。
目に見えない赤外線にも波長の違いという”色”の違いがあり、分子は種類ごとに、よく吸い込む色とほとんど吸い込まない色が決まっているのです。そして吸い込まれた光のエネルギーは熱に変わり、まわりの空気をわずかに膨らませます。研究者たちは綿棒を気密のホルダーに差し込み、乾いた空気で匂いの分子を小さな測定容器へ送り込むと、そこへ光を一定のリズム(1秒間に30回)で当てました。光が当たるたびに空気は膨らみ、光が途切れるたびに縮みます。
この膨らんでは縮むの繰り返しは、空気の振動、つまり音そのものです。容器の中に据えられた超高感度のマイクが、この小さな音を拾いました。あとはレーザーの波長を少しずつずらしながら音の大きさを記録していけば、「どの色の光で、どれだけ大きな音が鳴ったか」を並べたグラフができあがります。
これが、その綿棒の匂いの「指紋」です。
研究チームは、こうして得た指紋を、似た模様どうしは近くに、違う模様どうしは遠くに並ぶ1枚の地図に置く統計の手法(主成分分析)で、鼻、おへそ、耳の3カ所それぞれについて地図を作りました。

すると、どの場所でもグループごとのまとまりが現れました。
なかでもくっきり分かれたのが、鼻とおへそです。
おへその地図では、健康な人の匂いが一方の端に、軽度認知障害の人の匂いが反対側の端に集まりました。
パーキンソン病と新型コロナの人の匂いは、その間にはさまるように並び、この2つは一部で重なっていました。
鼻の地図でも4つのグループはそれぞれ別の場所に集まり、なかでもパーキンソン病の人の匂いは、ほかのグループとはっきり違う位置を占めました。
とはいえ、たまたまその日の部屋の湿度や測定の具合が似ていただけの可能性もあります。
そこで研究チームは、最初の測定から2週間の間を空けて、最初の24人とは別のパーキンソン病の患者3人から鼻の綿棒を集め、同じ手順で測りました。
すると3人の指紋は、最初のパーキンソン病のグループのすぐそばに並んだのです。
測った日が違っても同じ場所に落ち着いたことは、指紋を形作っているのが周りの湿気や実験室の匂いではなく、病気に関わる匂いの成分であることを裏づける、と研究チームは述べています。

























