好きなバンドが重なる2人は仲も良くなる

では、音楽がそろっている2人は、実際に仲がいいのでしょうか。
恋人同士と言っても、その仲の良さレベルは様々で、恋人であるかどうかとはまた別問題だからです。
そこで研究では、音楽がそろっているときの仲の良さに与える影響を調べました。
研究をまとめると、調べた「似ぐあい」のうち、関係の良好さと結びついていたものが1つだけありました。
好きなアーティストの重なりです。
ジャンルの好みの一致でも、性格の一致でも、価値観の一致でもありませんでした。
ジャンルよりアーティストのほうが効いたのは、名前のほうが曖昧さが小さいからだろうと論文は説明しています。
「ロックが好き」と答えたとき、二人が思い浮かべている音は同じとは限りません。
けれどもバンド名を3組まで挙げてもらえば、その人が実際に何を聴いているのかは、ずっとはっきりします。
また、好きな音楽が重なると何が起きるのかについて、論文は二つの筋道を挙げています。
一つは、単純に一緒に過ごす時間です。
同じ曲を流し、同じライブに出かける。
そうやって生まれる時間の質は、関係の満足度をよく予測することが分かっています。
もう一つは、音楽の好みが、感情の扱い方まで映している可能性です。
音楽は気分を切り替えたり、落ち込みをやり過ごしたりする道具でもあるので、好みが近いことは、感情の必要としているものが近いことの表れかもしれません。
それが、互いの理解しやすさや話の通じやすさにつながっている、という見立てです。
もっともツェントナー教授は、好きなバンドが食い違っている二人が落胆する必要はないと念を押しています。
今回の研究が捉えたのは相関であって、個人の恋の行方を決めるものではないからです。
それでも恋人同士の音楽の好みが、性格も価値観も上回るという結果は、多くの人々やマッチングアプリの開発において有用なデータとなるでしょう。
音楽は2人の相性をのぞく窓として、案外理にかなっているのかもしれません。
研究チームは次に、オンラインデートの実験や、交際を始めたばかりのカップルを18カ月にわたって追いかける調査を進め、最初から好みの似た相手に惹かれるのか、一緒に過ごすうちに好みが溶け合っていくのかを確かめる計画です。



























