脳の中で「糖の飾り」が増えすぎていた

研究チームは、この結びつきを説明する手がかりになりうる、体の仕組みの証拠も見つけています。
注目したのは、タンパク質に糖の鎖(糖鎖)を取り付ける「糖鎖修飾(グリコシル化)」という代謝の流れです。
これは細胞にとってごく普通で大切な働きですが、アルツハイマー病ではこれが過剰に活発になっている兆候が見つかりました。
研究チームはまず、アルツハイマー病の人と健康な人の前頭皮質(おでこ側にある大脳の表層部分)の組織を、年齢や性別、死後の経過時間をそろえて3人分ずつ比べました。
分子の分布を場所ごとに画像にする手法で調べました。するとアルツハイマー病の脳では、灰白質(神経細胞の本体が集まる部分)と白質(神経線維が通る部分)の両方で、糖鎖の量が大幅に増えていました。
さらに病気の進み具合(ブラーク分類)ごとに分けた別の患者の脳組織を調べると、灰白質では病気が進むほど糖鎖が増えていく傾向が見られました。
同位体を使って糖鎖の作られ方を追跡する分析などから、研究チームは、脳で糖鎖が増えすぎるのは糖鎖を作る働きが強まるためだと示しています。
次に研究チームは、アルツハイマー病のモデルマウスでこの働きを確かめました。
糖鎖を作る酵素を遺伝的に減らしたマウスでは認知機能の成績が改善した一方で、グルコサミンを口から与えたマウスでは成績が悪化しました。
つまりマウスでは、糖鎖を作る流れを弱めると良い方向に、グルコサミンを加えると悪い方向に働いたのです。
研究チームは、過剰な糖鎖修飾がアルツハイマー病を進める要因の1つであり、糖鎖の代謝が治療の標的になりうると考えています。
サン博士も「私たちの結果は、代謝の変化がアルツハイマー病の進行に大きく関わっていることを示唆しています」と述べています。
ただし今回の結果はまだ予備的なもので、人を対象にした臨床試験で確かめる必要があります。
膝のために飲む粒が、脳の中の「糖の飾りつけ」とつながっているかもしれないという視点は、サプリを体の1か所にだけ効くものと見ていた私たちの思い込みを静かに揺さぶります。





















