犬は飼い主を「直接」幸せにしていたのか?

結論から言うと、犬や猫を飼っていること自体に、幸福感を直接高める効果は認められませんでした。
少なくとも今回の調査では、犬を飼っていることが幸福感を直接押し上げる形は確認されなかったのです。
その代わりに浮かび上がったのが、「人との関わり」でした。
研究グループによると、犬の飼育は、家族との関わりや、地域の住民や友人との交流を増やしていました。
女性に限って見ると、家族とのふれあいが近所の人や友人との付き合いにまで広がっていくことが、自己肯定感や幸福感の向上と結びついていました。
研究グループは、犬を飼うことで家族とのふれあいが近所や友人との付き合いにまで広がり、それが幸福感を高めていると考えています。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(日々の幸福感を高める「3つの徳」が明らかに)
一方で、猫の飼育と、家族や地域との関わりとのあいだには、明確な関連は見られませんでした。
さらに、体の中の状態にも、人とのつながりとの関連が見つかりました。
親しい人との会話が多い人ほど、尿の中のコルチゾールの濃さが低かったのです。
また、犬の飼育や人との交流は、腸内細菌叢の構成(どんな細菌がどれくらいいるか)とも関連していました。
ただしこれらは、二つのことが一緒に見られたという「関連」であり、どちらが原因なのかまでは、ここからは分かりません。
研究グループは、伴侶動物、とりわけ犬を飼うことは、幸福感に直接はたらきかけるというより、人とのつながりを経由して間接的に役立っていると結論づけています。
そして、犬の飼育が、人とのつながりという社会的な道すじと、体の中の働きという生物学的な道すじを通じて、人の健康に役立っている可能性を示したとしています。
犬との暮らしが人の健康や幸福感にどんな効果をもたらすのか、今後さらに解明が進むことが期待されます。
犬がくれる幸せは、犬そのものの中だけにあるのではなく、犬が結んでくれた人との縁の中にも宿っているのかもしれません。
何気なく交わしている家族との会話や、散歩中のあいさつこそが、犬からの贈り物の本体なのかもしれません。
散歩の途中で犬がなかなか帰ろうとしないのは、飼い主にもう一人くらい話し相手を見つけてほしいという、犬なりの気づかいなのかもしれません。


























