左利きは「勝負から降りにくい」

左利きの人は、負けず嫌いなのでしょうか。
答えを得るために研究者たちはまず、1129人分の回答を集めました。
調査では参加者はまず、字を書く、ボールを蹴るといった21の動作で体の左右どちらを使うかを答え、同じ調査の中で、競争への構えと、性格、不安や落ち込みの程度にも答えます。
こうすることで、利き手の偏りと心の傾きの関係を、1000人を超える規模で突き合わせることができます。
また研究では、単に右利きと左利きの2択ではなく、どちらにどれだけ寄っているかも調べられました。
右利きの人でも、何をするにも右を使う「完全な右利き」の人がいる一方で、字は右手で書いても、ほかの動作では左を使うことがある人もいるからです。
競争心のほうも、ひとくくりにはされませんでした。
「競争が好き」と言う場合でも、他人を押しのけてでも勝ちたい人と、競争で自分を伸ばしたい人は同じではありません。
同様に「競争が苦手」と言う場合でも、負けるのが怖い人と、そもそも勝ち負けに関心がない人は同じではありません。
その結果、1129人全体で見ると、利き手が左に寄っている人ほど、競争で自分を伸ばしたい気持ちが強く、負けるのが怖くて勝負を降りることが少ないと分かりました。
研究者たちはさらに、完全な左利きに近い50人と、完全な右利きに近い483人を抜き出して比べました。
すると今度は、「他人を押しのけてでも勝ちたい」という気持ちにまで、はっきりした差が出ました。
左利きのグループのほうが、右利きのグループより高い点数だったのです。
一方で、性格を5つの面から測る標準的なテスト(ビッグファイブ)では、左利きと右利きのあいだに違いは出ませんでした。
ビッグファイブは性格を「好奇心の強さ(開放性)、きちょうめんさ(誠実性)、人づきあいの積極性(外向性)、人当たりのよさ(協調性)、不安の抱えやすさ(神経症傾向)」の5つの面から測る心理学の標準的な性格のテストとして知られています。
競争において重要となる落ち込みやすさや、ふだんの不安の強さも同様でした。
つまり左利き寄りの人は、右利きの人と同様に不安を感じやすいのに、不安を理由に勝負を降りることだけが少なかったのです。
しかし左利きが勝負に強いうえに勝ち気でもあるのならば、とっくに自然淘汰によって多数派になっていてもよいはずです。
それなのになぜ、いまも1割ほどにとどまっているのでしょうか。






















