光で水が「はじき出される」という仮説

問題の説は「フォトモレキュラー(光分子)効果」とも呼ばれ、目に見える光(可視光)が水の蒸発を後押しするというものです。
考え方はこうです。
水面の水分子は、隣どうしが「水素結合」という弱い手でつながり合っています。
可視光がこのつながりをゆるめ、水分子のかたまりを空気中へはじき出すなら、水はふつうより速く減っていくはずです。
実際、先行研究では、今回と同じくらいの光を当てると蒸発が約12%速まり、さらに強い光では最大で約40%の変化が出たと報告されていました。
緑色の光(波長520nm付近)で効果が最も大きくなるという報告や、空気の湿り気が効果を左右するという見方もありました。
ただし、可視光で蒸発の増加などが観察された先行研究は、ハイドロゲルや穴だらけの素材、水滴といった複雑な形の水を使ったものでした。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(「光」は熱がなくても水を蒸発させることができる)
こうした系では蒸発の量を熱の出入りなどから間接的に割り出す必要があり、熱や素材の形の影響が混ざりやすいという弱点があります。
そこで研究チームは平らな純水の水面を用意し、蒸発で水面が下がっていく様子を、共焦点変位センサーという精密な距離計でリアルタイムに追いかけました。
水面が下がった高さをそのまま蒸発の速さに換算するので、熱についての仮定に頼らずにすむのです。
さらに、水面に特化し、1ナノメートルに満たない深さの感度で水分子の振動を読み取る分光法も組み合わせ、つながりの強さや分子の向きの変化も見逃さない態勢を整えました。



















