ひざ丈まで育つ菌は、どの一族に属していたのか
持ち帰った子実体を測ると、全体の高さは20〜50cmありました。
50cmといえば、大人のひざに届くほどの高さです。
論文の要旨では、重いものは1本で2.2kgに達するとされ、2リットルのペットボトル1本より少し重いほどです。ただし本文の種の記載では、重さは250〜600gと書かれています。
ただし、この高さには土に埋まった部分も含まれています。
土の中には、黒くなめらかな柄が20〜30cmほど伸びています。
地上に出た部分は高さ10〜20cm、太さは7〜10cmほどで、15cmに達するものもあります。ここで胞子が作られます。
形は円柱やこま形、手のひらのような形までさまざまで、根元や先で枝分かれするものもあります。
表面は粉をふいたような繊維に覆われ、若いうちは白く、熟すにつれて濃い黄色に変わります。

研究チームは、これを子嚢菌でこれまでに記録された中で最大の子実体だと位置づけています。
重さだけなら竹に生えるケニアの菌の方が上です。背の高さは、土に埋まった柄を含む全体で最大50cmです。これまでの記録は20〜30cmとされますが、同じ測り方で比べた数字かどうかは、今回の発表からは分かりません。
では、この大きな菌は、どの仲間に属するのでしょうか。
チームは姿形をくわしく調べるとともに、4つの遺伝子領域の配列を比べて、菌どうしの家系図を描きました。
さらにゲノム(全遺伝情報)を読み、胞子を培地で育てて、その姿も観察しました。

培養した菌は、木の枝のように細かく枝分かれした柄の先に、小さな胞子をつけました。

その結果、この菌は新しい種であるだけでなく、新しい属、さらには新しい科にあたると分かりました。
「科」は、種や属を束ねる、より上の段のまとまりです。
新しい種は「ディアンジュヌス・レックス(Dianjunus rex)」と名付けられました。
属名は、今の雲南省のあたりにかつてあった「滇国(てんこく)」と、菌を意味する中国語「jūn」を合わせたものです。
種名のrexはラテン語で「王」を意味し、堂々とした大きさにちなみます。
略して「D-rex」とも呼ばれ、恐竜のT・レックスを思わせる響きです。
最も近い親戚は、北半球の枯れた広葉樹に生えるグラフォストローマ・プラティストーマなどを含む、グラフォストローマ科という科でした。
この科にはカミレア属やビスコグニアウキシア属など複数の属が含まれ、D-rexの科はその隣に並ぶ、別の枝にあたります。
つまりD-rexは、これまで知られたどの科にも入らない、独自の系統だったのです。





