「恐竜絶滅」の直後から続く系統の「巨大キノコ」の新種を発見
「恐竜絶滅」の直後から続く系統の「巨大キノコ」の新種を発見 / 野外で見つかったD-rexの子実体で、木の根についたものや、木のまわりに生えたものが写っています。採集した人の姿や、二つに分かれた最大の子実体の重さを量った様子も含まれています。 Credit: Song et al., Frontiers in Fungal Biology (2026)(CC BY 4.0)
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「恐竜絶滅」の直後から続く系統の「巨大キノコ」の新種を発見 (2/3)

2026.10.16 07:30:00 Friday

前ページ子嚢菌の子実体、背の高さの記録は20〜30cmほどだった

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ひざ丈まで育つ菌は、どの一族に属していたのか

持ち帰った子実体を測ると、全体の高さは20〜50cmありました。

50cmといえば、大人のひざに届くほどの高さです。

論文の要旨では、重いものは1本で2.2kgに達するとされ、2リットルのペットボトル1本より少し重いほどです。ただし本文の種の記載では、重さは250〜600gと書かれています。

ただし、この高さには土に埋まった部分も含まれています。

土の中には、黒くなめらかな柄が20〜30cmほど伸びています。

地上に出た部分は高さ10〜20cm、太さは7〜10cmほどで、15cmに達するものもあります。ここで胞子が作られます。

形は円柱やこま形、手のひらのような形までさまざまで、根元や先で枝分かれするものもあります。

表面は粉をふいたような繊維に覆われ、若いうちは白く、熟すにつれて濃い黄色に変わります。

新種の基準になったD-rexの標本です。子実体の全体の姿に加えて、表面を覆う黄色い粉の層、胞子の出口、縦に切った断面、胞子の入った袋と胞子を拡大した写真が並んでいます。全体の写真に添えられた目盛りの棒は、15cmにあたります。
新種の基準になったD-rexの標本です。子実体の全体の姿に加えて、表面を覆う黄色い粉の層、胞子の出口、縦に切った断面、胞子の入った袋と胞子を拡大した写真が並んでいます。全体の写真に添えられた目盛りの棒は、15cmにあたります。Credit: Song et al., Frontiers in Fungal Biology (2026)(CC BY 4.0)

研究チームは、これを子嚢菌でこれまでに記録された中で最大の子実体だと位置づけています。

重さだけなら竹に生えるケニアの菌の方が上です。背の高さは、土に埋まった柄を含む全体で最大50cmです。これまでの記録は20〜30cmとされますが、同じ測り方で比べた数字かどうかは、今回の発表からは分かりません。

では、この大きな菌は、どの仲間に属するのでしょうか。

チームは姿形をくわしく調べるとともに、4つの遺伝子領域の配列を比べて、菌どうしの家系図を描きました。

さらにゲノム(全遺伝情報)を読み、胞子を培地で育てて、その姿も観察しました。

D-rexのゲノムを組み立てた結果と、そこから分かるタンパク質の一式を評価した図です。
D-rexのゲノムを組み立てた結果と、そこから分かるタンパク質の一式を評価した図です。Credit: Song et al., Frontiers in Fungal Biology (2026)(CC BY 4.0)

培養した菌は、木の枝のように細かく枝分かれした柄の先に、小さな胞子をつけました。

D-rexを培養した様子と、そこでできた無性の胞子です。3種類の培地で1週間育てた菌を表と裏から写した写真と、90日たって胞子をつけた培養、胞子をつける柄や胞子を顕微鏡で見た写真が並んでいます。
D-rexを培養した様子と、そこでできた無性の胞子です。3種類の培地で1週間育てた菌を表と裏から写した写真と、90日たって胞子をつけた培養、胞子をつける柄や胞子を顕微鏡で見た写真が並んでいます。Credit: Song et al., Frontiers in Fungal Biology (2026)(CC BY 4.0)

その結果、この菌は新しい種であるだけでなく、新しい属、さらには新しい科にあたると分かりました。

「科」は、種や属を束ねる、より上の段のまとまりです。

新しい種は「ディアンジュヌス・レックス(Dianjunus rex)」と名付けられました。

属名は、今の雲南省のあたりにかつてあった「滇国(てんこく)」と、菌を意味する中国語「jūn」を合わせたものです。

種名のrexはラテン語で「王」を意味し、堂々とした大きさにちなみます。

略して「D-rex」とも呼ばれ、恐竜のT・レックスを思わせる響きです。

最も近い親戚は、北半球の枯れた広葉樹に生えるグラフォストローマ・プラティストーマなどを含む、グラフォストローマ科という科でした。

この科にはカミレア属やビスコグニアウキシア属など複数の属が含まれ、D-rexの科はその隣に並ぶ、別の枝にあたります。

つまりD-rexは、これまで知られたどの科にも入らない、独自の系統だったのです。

研究チームが推定した、菌の種どうしの家系図です。
研究チームが推定した、菌の種どうしの家系図です。Credit: Song et al., Frontiers in Fungal Biology (2026)(CC BY 4.0)

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