「恐竜絶滅」の直後から続く系統の「巨大キノコ」の新種を発見
「恐竜絶滅」の直後から続く系統の「巨大キノコ」の新種を発見 / 野外で見つかったD-rexの子実体で、木の根についたものや、木のまわりに生えたものが写っています。採集した人の姿や、二つに分かれた最大の子実体の重さを量った様子も含まれています。 Credit: Song et al., Frontiers in Fungal Biology (2026)(CC BY 4.0)
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「恐竜絶滅」の直後から続く系統の「巨大キノコ」の新種を発見 (3/3)

2026.10.16 07:30:00 Friday

前ページひざ丈まで育つ菌は、どの一族に属していたのか

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約6500万年前に生まれたと推定される一族と、大きさの謎

チームはさらに、この一族がいつ枝分かれしたのかを推定しました。

使ったのは「分子時計」という方法で、DNAに積み重なった違いの量から、分かれてからの時間を見積もります。

進化の年代が分かっている菌類のゲノムと比べ、時計の目盛りを合わせました。

その結果、D-rexの科が生まれたのは約6500万年前と推定されました。

これは、恐竜を絶滅させた白亜紀末の大量絶滅から、わずか100万年ほど後にあたります。

この大量絶滅では、動植物の種の推定75%が姿を消し、地球の生き物の顔ぶれが大きく入れ替わりました。

論文の責任著者で、昆明植物研究所のインドゥニル・C・セナナヤケ准教授は、この時期の重なりに注目しています。

大量絶滅の後、森は大きく変わり、枯れた植物が一気に大量に手に入るようになったといいます。

木に関わる分解者の菌にとって、その混乱が新しい暮らしの場を生んだかもしれない、というのが准教授の見方です。

ただしこれは時期の重なりから考えた一つの可能性で、確かめられた筋書きではありません。

ゲノムからは、炭水化物を扱う酵素の遺伝子がとても少ないという、意外な特徴も見つかりました。

マメザヤタケ属(枯れ木に生える、黒いこん棒のような子嚢菌の仲間)はこうした遺伝子を535〜635個もちますが、D-rexがもつ数はその半分以下でした。

朽ちかけた丸太に生えた、「キャンドルスティック・ファンガス(ろうそく立ての菌)」と呼ばれる菌です。本文に出てくるマメザヤタケ属の一種で、D-rexとは別の種です。
朽ちかけた丸太に生えた、「キャンドルスティック・ファンガス(ろうそく立ての菌)」と呼ばれる菌です。本文に出てくるマメザヤタケ属の一種で、D-rexとは別の種です。Credit: Dominicus Johannes Bergsma / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

とくに、ペクチンを分解する酵素の一群「ペクチンリアーゼ(PL)」の遺伝子は、ほぼゼロでした。

近い仲間が7〜19個もつのに対し、D-rexは0〜1個で、ある株では1つも見つかりませんでした。

反対に、糖をほかの分子につなぐ酵素の遺伝子は、こうした酵素の遺伝子全体の約26%を占めていました。目立って高い割合です。

D-rexを含む「目(もく)」という、科より大きなグループは、植物の複雑な分子を分解する酵素を作ることで知られます。

研究を伝える発表では、D-rexもそうした酵素で枯れ木を消化しているかもしれない、と述べられています。

ところが遺伝子の数で見ると、その道具箱はかなり小ぶりだったことになります。

この偏りが暮らし方とどう結びつくのかは、今回の発表では示されていません。

では、なぜD-rexはこれほど大きくなるのでしょうか。

セナナヤケ准教授は、周りの草や落ち葉より高く伸びれば、茂った森でも胞子を風に乗せやすいのではないかと考えています。

一方で、これほど大きな体を作るには、多くのエネルギーが要ります。

そのため准教授は、利点が負担を上回る環境でだけ、この戦略が進化したのだろうと推測しています。

どちらも仮説の段階で、大きさの理由が確かめられたわけではありません。

研究チームは、東アジアの森には、まだ調べられていない菌類の多様性が眠っているとしています。

そして、中国の亜熱帯の森から、さらに多くの発見があるだろうと予想しています。

雲南の森では、約6500万年前に生まれたと推定される一族の「王」が、黒い柄を土に下ろし、地上には高さ10〜20cmほどの、胞子を作る部分を伸ばしていたのです。

次に森でキノコを見かけたら、王様が隠れていないか、根元の土までのぞいてみたくなるかも。

ここからは、子嚢菌をもっと知りたい人へ

子嚢菌とは、担子菌と並ぶ菌類の大きな仲間です

「デッドマンズ・フィンガー(死人の指)」と呼ばれる菌です(ドイツ・ウルム)。解説で触れた、何か月も胞子を放ち続けることがある子嚢菌は、この菌です。D-rexとは別の種です。
「デッドマンズ・フィンガー(死人の指)」と呼ばれる菌です(ドイツ・ウルム)。解説で触れた、何か月も胞子を放ち続けることがある子嚢菌は、この菌です。D-rexとは別の種です。Credit: Holger Krisp / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)

子嚢菌は菌類の仲間で、担子菌とともに、菌類の中の一つの大きなまとまりをつくっています。

この仲間には、枯れ木を腐らせて暮らす菌もいます。

木を腐らせる子嚢菌の多くが起こすのは、「軟腐朽(なんふきゅう)」と呼ばれる腐り方です。

胞子の放ち方にも特徴があり、枯れ木に生える子嚢菌の一種では、一つの子実体が何か月も、ときには何年にもわたって胞子を放ち続けることがあります。

写真で見る、木に生える菌の仲間

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きのこは奥が深い😗

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