■人が孤独を感じることはごく普通のことで、人生の特定の時期に孤独感が頂点に達することが判明
■困難やストレスが共通して生じやすい20代後半、50代半ば、80代後半に、孤独を感じやすい
■向社会的態度や感情の統制などの人生の「知恵」を身につけたほど孤独を感じにくい
人生の節々で誰もが味わう孤独。これまでの研究では、孤独が健康にも悪影響をもたらすことが分かっています。
カリフォルニア大学の研究によると、人が孤独を感じることは私たちが考える以上に普通のことであり、孤独感は人生の特定の時期に頂点に達することが明らかになりました。論文は12月18日付けで「International Psychogeriatrics」に掲載されています。
https://www.cambridge.org/core/journals/international-psychogeriatrics/article/high-prevalence-and-adverse-health
孤独のピークは80代後半
研究を行ったのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校のディリップ・ジェステ氏ら。「高齢者は一人で過ごす時間が多いため、その分孤独に弱い」という仮説を元に、27〜101歳のサンディエゴ州の住人340名を対象にして、心の健康状態の検査を行いました。
その結果、仮説は少なくとも部分的には正しいことが判明。80代後半で孤独がピークに達することが明らかになりました。ただし、孤独感が高まるのはこの年代のみではありません。20代後半と50代半ばにも、孤独が高まる人が多かったのです。
これらの年代に、共通して困難やストレスが生じやすい時期が集中しているのではないかとジェステ氏らは推測しています。
人生の大きな決断を迫られる20代後半は、自分を周囲と比較して落ち込んだり、過去を後悔したりと、ストレスが多い時期です。また、人生の折り返し地点に差し掛かる50代半ばでは、体力の衰えを感じ始め、死をより強く意識するようになります。
さらに、80代後半に達すると、身体のあちこちに不調が出るだけでなく、配偶者を含む親しい人々の死にも直面しなければなりません。
さらに調査結果からは、孤独を感じることがどの年代でも予想以上に一般的なことが明らかに。米国人の17〜57パーセントが孤独を感じているという過去の調査から、ジェステ氏らはその中間ほどの結果が出るだろうと予測していましたが、蓋を開けてみたところ、被験者の実に76パーセントもの人が中〜高程度の孤独感を経験していることが判明しました。
被験者が、深刻な身体の病気や、うつや統合失調症などの顕著な精神疾患を持っていなかったことを考えれば、予想外の結果です。