人が自分の人格を「2つ以上」持つことはあり得るのでしょうか?
いわゆる「二重人格」がどのようなものなのかについて、Youtubeチャンネル「Life Noggin」が分かりやすく解説しています。
人間の「脳」は驚くほどに複雑な器官であり、そこで「あなた」という人格が作られています。
しかし、「解離性同一性障害」と呼ばれる症状が存在しているように、「あなた」という人格がときに「1つ」ではなくなることがあります。
自分が人格を「1つ」より多く持っていると感じているのは100人中2人の割合。これを「多い」と感じるかもしれませんが、たいていの場合その症状は深刻なものではありません。
その中でも「解離性同一性障害」と診断される人は、自分の中にコントロールが可能な「2つ以上」のアイデンティティを持ち、それぞれが独立した記憶と感覚を持っています。
実際にそうした診断が下されるのは、ごくわずかな少数の人々です。しかし、こうした障害はしばしば映画やドラマの設定として採用されるため、どのようなものかはイメージがしやすいでしょう。
1人の体を数人の人格が「シェア」しているようなこの状況では、たとえばかかってきた電話の呼び出しに応じられるのは当然ながら「1人」であり、他の人格に電話の内容が届くことはありません。
「解離性同一性障害」の人に「記憶のギャップ」が存在しているのはこういった理由からなのです。
どうして「1人」の人格がこのような分裂を起こすのか、明確な理由は分かっていません。しかし、精神障害の分類が示された「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」によれば、その原因が「幼少期のトラウマ」にあるとする説があります。
中には「解離性同一性障害」などといった症状は存在しないと語る心理学者もいます。それは、私たちが見たり聞いたりした物語の影響の産物であるというのです。実際に、1950年代に多重人格者を題材とした本がベストセラーとなった際には、同様の症状を訴える人が増加したといいます。
しかし一方で、解離性同一性障害者の「人格ごと」の脳を調べ、肌の電気信号を伝える能力を測定したところ、彼らは人格によって違った感覚を体験している可能性があることが分かりました。
また、心理学者が「personality(人格)」の代わりに「alter(变化したもの)」といった単語を用いるのには理由があります。
彼らは頭の中に独立した人格を複数持っているわけではなく、その症状については、まるで皿が割れたかのように1つの人格がバラバラになっているとイメージするほうが正しいのです。
そのためすべての「alter」は、もともと1つであった人格の1部分であるということになります。しかし、すべてのalterにおいて、それぞれ気分、年齢、教育水準、さらには性別までもが異なる可能性があるのです。
たとえば、ここに解離性同一性障害を患うジャレッドという男性がいたとします。ジャレッドが持つalterは、「メガネが必要な女性」「年老いた英国人」「いつも泣き声をあげている赤ちゃん」の3つです。
ジャレッドはそれらすべてを同時に頭の中で体験することもありますが、たとえば1つのalterが脳を乗っ取ってしまえば、ジャレッドは自分が記憶喪失になってしまったと感じるかもしれません。
そうした場合、解離性同一性障害に苦しむ人の「メイン」の人格は非常に悲しみ、罪悪感を抱え込んでしまうこともあります。
心理学者たちは今も「1つ」より多くの人格を持つ患者に注目し、その対処法を模索しています。
ちなみに、中には自らが「162」もの人格を持つと主張した女性もいるのだとか。
前述したように、人格にこのような細かな分裂が起こってしまう原因は明らかにされていませんが、できれば私たちは、天から与えられた「たった1つの人格」を大切にしていきたいものです。