■ウスアマツバメの中に、3ヶ月間以上地上に降りることなく、連続して空中で生活する個体が存在することを発見
■約10ヶ月間を空中で生活するヨーロッパアマツバメと比べ、空中で生活する時間が短いことには、繁殖期が関係
■ウスアマツバメは、エネルギー消費を最大限に効率化し、羽ばたいたり、滑空したりできる身体構造を持つ
長い翼で自由自在に、高速で空を飛ぶアマツバメ。飛びながら眠ることもできるほど、空中を飛ぶことに特化した鳥です。
スウェーデン・ルンド大学の研究チームが、ウスアマツバメの中に、3ヶ月間以上地上に降りることなく、連続して空中で生活する個体が存在することを発見しました。論文は、「Journal of Avian Biology」に掲載されています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jav.01972
地上に降りるのは繁殖期のみ
3年前、同チームはヨーロッパアマツバメの中に、10ヶ月間連続して空中で生活する個体がいることを証明しました。これは、鳥類において世界最長記録です。また、別の研究チームが行った調査でも、シロハラアマツバメが生涯の大半を空中で暮らすことが示されました。
今回の調査で対象となったのは、4羽のウスアマツバメです。羽の動きを計測するための小型データロガーを各個体の背中に装着し、5分ごとに個体の活動を、1ヶ月ごとに個体の地理的位置を、それぞれ記録しました。データロガーは、ウスアマツバメの飛行や行動を邪魔しないよう、できるだけ軽量化されたものでした。
その結果、ウスアマツバメが、冬の2〜3.5ヶ月間を地上に降りることなく空中で生活することが判明。イタリアで繁殖を終えた後、西アフリカへ渡って冬を超す間のことでした。
研究チームによると、ウスアマツバメが地上に降りるのは、軒先の下や穴の中で産卵を行う時だけだそう。空を飛びながら空中を飛ぶ虫を食べ、高い高度から滑空する際にごく短時間眠ります。
約10ヶ月間を空中で生活するヨーロッパアマツバメに比べれば、ウスアマツバメが空中で生活する時間が短いことには、繁殖期が関係しています。年に一度しか産卵しないヨーロッパアマツバメと異なって、ウスアマツバメは二度産卵するのです。