history archeology

大学に送り付けられた正体不明のキューブから意外な歴史的事実が判明

2019.05.03 Friday

Credit:siliconrepublic

Point

■メリーランド大学に送り主不明の「核キューブ」が届けられる

■「核キューブ」はナチスドイツが原子爆弾開発の際に製造していたウランを原材料とするキューブだった

■キューブの内容が普通のウラン鉱石と変わりないことから、ナチスの原爆開発は滞っていたと考えられる

2013年、アメリカ・メリーランド大学の物理学者ティモシー・ケース氏のもとに1つの金属製キューブが届けられた。

キューブに同封されたメモにはこう書かれている。

「ヒトラーが作ろうとしていた原子炉にあったもの。Ninningerからの贈り物」

送り主不明の小さな物体はなんと、第二次世界大戦時にナチスドイツが原子爆弾の開発に使用していた「核キューブ」だったのだ。

詳細な報告は、5月1日付けで「Physics Today」上に掲載されている。

Tracking the journey of a uranium cube
https://physicstoday.scitation.org/doi/10.1063/PT.3.4202

ナチス「B-Ⅷ原子炉」で製造されたキューブ

5cm四方のキューブには2kgのウラン鉱石が高密度で詰め込まれていた。

ケース氏の同僚であるミリアム・ハイバート氏は「見た目の小ささに比べて重量があり、手に取った人のほとんどが予想外の重さにびっくりする」と話している。

調査を進めると、核キューブはナチスが1940年代初めに行なった核実験の一環で製造されたものであることが判明した。製造場所はドイツ・ハイガーロッホにある「B-Ⅷ原子炉」だ。

ハイガーロッホ原子炉のレプリカ/Credit:wikipedia

「B-Ⅷ原子炉」で作られたキューブは計664個と言われており、ケース氏に送られたものはその内の1つと考えられる。原子炉はアメリカ連合軍の「アルソス・ミッション」によって施設の解体および材料の押収を受けている。

その際にキューブの行方も分からなくなったようだ。原子炉の指揮を取っていた物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルクが近くの畑にキューブを埋めたとも言われている。

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