ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の公式番組『State of Play』が放送され、巷はゲームの話題で盛り上がっているが、その中で『FINAL FANTASY VII REMAKE』の新情報が発表された。
オリジナルの『FINAL FANTASY VII』は1997年の発売なので、今から22年も前の話になる。当時はまだ3DCGゲームの黎明期だったため、リメイク情報をきっかけにオリジナル版のCGを見返した人の多くはクオリティの差に驚かされるだろう。
CGはまったくの無から人がビジュアルを作り出す世界なので、見ただけでこれほど年々の進歩を実感しやすい分野はないだろう。ボジョレー・ヌーヴォーや花粉の飛散量よりもすごいかもしれない。
ゲームの進化すげー! という台詞はゲーム好きなら毎年一度はつぶやいているんじゃないだろうか?
しかし、どうやってCGはここまでリアルに進化したのだろうか?
コンピュータの処理能力が飛躍的に向上したことは、もちろん大きな要因だ。しかしそれだけでは、我々の目が写真と見紛うほどの映像を作り出すことは出来ない。
そこには、現実の光がどのように振る舞っているのか、それを計算式として再現するためにはどうすればいいのか、そんな困難な問題を徹底的に考え抜いたCG研究者たちの努力の数々が潜んでいるのだ。
CGの進化とは我々が普段意識もせずに行っている見るという行為を科学的に解析した成果なのだ。
せっかくFF7が、3DCG黎明期と現代の技術で同じキャラクター、同じ場面を作ってくれているのだから、両者を見比べながらCGがいかに「見る」という事を科学として進歩させて来たかを振り返ってみよう。
質感はどう表現するのか? テクスチャ技術の進歩
ものを見るという行為は、物質の表面で反射した光を捉える事に等しい。
CGは実際手で触れるわけではないため、物の質感を作り出すためには光の振る舞いを如何に理解して再現するかにかかっている。
例えば単純な球体のポリゴンをCGで作ったとしても、その表面の光の反射率や透過率をどう設定するかによって全然別の物質に見えてしまう。
反射率が高く光沢を強く持たせれば金属に近づくが、光沢を減らすとツルッとしたプラスチックのようになる。透過率を上げればガラス玉に見えるようになる。
しかし反射率だけで全ての質感は作れないので、ゴムや石を表現しようとする場合には、テクスチャという画像を表面に貼ることで表現するが、多くの物体は表面がデコボコしているので、このテクスチャ自身に凹凸の情報をもたせるという技術が進化した。
一昔前のテクスチャでは、視差マッピングという視線のベクトルを計算し、それに応じてテクスチャ画像を歪ませることで表面の立体感を出すという方法が使われたりしていた。しかし現在は、テクスチャに埋め込まれた情報を元に表面のポリゴンを作り直してしまうという、とんでもない方法が実用化されている。
これによって、昔はなんだかのっぺりしていたCGオブジェクトの表面が、複雑な起伏を持ったリアルな質感のものに変わっているのだ。