物がこのように見えるという事への疑問と執念
難しいのが人間の肌の表現だ。毛穴や皺など表面自体が複雑なこともあるが、実は人の肌の表面では光がそのまま反射しているのではなく、一部が皮膚の中に入り皮膚下の組織で散乱して跳ね返っている。
この複雑な肌表面での光の挙動を再現した技術がサブサーフェイス・スキャタリング(Subsurface Scattering)だ。これは日本語にすると表面下散乱という意味になる。
肌が実は半透明な物質で光が透けて複雑に散乱している、などということはCGで肌をリアルに表現しようと考えない限りはなかなか気づかない事実だ。
この技術は、人間の肌の他にも陶器やロウソクなど半透明な物体表面の質感を作り出すためにも使われている。
陶器とプラスチックではなぜ微妙に表面が違って見えるのか? それは何が原因で起こっているのか? CG技術を研究する人たちは、そんなところまで考えて、光の挙動を再現しているのだ。
『FINAL FANTASY VII REMAKE』とオリジナル版の違いをきっかけに簡単にCGで行われている光の処理について解説したが、CGという虚構の映像を作る人々は、我々がただなんとなく眺めて見過ごしている現実を実に注意深く観察している。
CG技術の進歩は、見るという現象に対する科学なのだ。
リアルに進化しすぎて、「コレジャナイ!」と思ってしまった人たちも、CGをリアルに見せるために苦心した研究者たちの苦労に思いを馳せながら、今一度リメイク版のCGを見返してみると、色々と新たな発見があるのではないだろうか。
と、CGをについて色々語ったけれど、『FINAL FANTASY VII』がゲームである以上、プレイしないことには始まらない。
すごいのはわかったけど、知りたいのは発売日だ! 頑張れスクエニ!