Point
■ヘブライ大学の研究により、「まばたき」が主観的時間を過小評価させることが判明
■視覚情報テストでは、まばたきによりインプットされる情報が減少することで時間感覚に影響を与えていた
■研究主任のエイレット・ランドー氏は「脳が重きを置く感覚器官が時間感覚を左右させるのでは」と指摘する
「まばたき」が時間を止める!?
人は起きている間の約1割の時間をまばたきに費やしている。成人で1分間に約20回、1時間に1200回、1年で換算すると9日間(!)まばたきしていることになる。
まばたきの間、視覚情報のインプットが0.5秒ほど奪われるのだが、脳がたくみに情報をつなぎ合わせてくれるので情報の喪失には気づくことはない。
新たな研究によると、まばたきは主観的な時間感覚の経過を一時的に止める効果があると判明したようだ。
研究の詳細は、4月16日付けで「Psychological Science」上に掲載されている。
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797619842198
「まばたき」で時間を過小評価
エルサレム・ヘブライ大学の研究チームは実験によって、「現在進行中の視覚処理」と「主観的な時間感覚」との間には密接な比例関係があることを見出した。
まずチームは視覚テストに22人の被験者を募り、それと比較するために聴覚テストも用意して他に23人の被験者を集めた。
視覚グループには本格的なテストの前に、スクリーンに映し出される「白いサークル図」を見てもらった。このとき被験者は「0.6秒間(ショート)」と「2.8秒間(ロング)」の2パターンでサークルを見る。
その後同じくスクリーンに映し出されるサークルに関して、映写時間がショートとロングのどちらに近いかを判定してもらった。
一方で聴覚グループにも似たようなテストを行なったが、こちらはサークルの代わりに「ホワイトノイズ」と呼ばれるものを使っている。そして両グループともにアイ・トラッキング装置を用いて、被験者の目の位置や瞳孔の直径をテスト中にわたって測定した。
すると視覚グループだけ、明らかに時間を短く感じていることがわかった。