日本と中国のコンテクスト差
さらにコンテクスト区分のメリットは、日本と中国との文化差を説明できる点にある。もちろんコンテクストの文化差は東洋圏内でも生じる。
両国の比較文化研究によると、日本人の方が中国人よりも矛盾を受容する思考スタイルを好むことが分かっている。しかしこれを日本の方が集団的だからと説明するのは不可能である。なぜなら中国の方が集団的な民族だからだとチームは説明する。
ところがコンテクスト状況を考えてみると、日本の方が圧倒的に高コンテクスト文化に属しているのだ。
理由は2つ。
1つは日本語の方が中国語よりも圧倒的に主語が省略されやすいということ。
主語というのはコンテクストの共有による復元が可能であればあるほど省略されるものだ。つまり日本人の方が主語の理解をコンテクストに委ねている傾向が強いのである。
もう1つは中国の方が遥かに異文化交流の歴史を持っているということだ。
漢民族により統一されたとはいえ、歴史的には異文化交流が盛んであったのは事実。つまり中国では低コンテクスト状態が育ちやすいという歴史的背景があったのである。