Point
■東洋と西洋の思考スタイルの文化差は、コンテクストの高低差に起因する
■コンテクストは対話者同士が暗黙の内に共有するルールであり、それへの依存度が高いほど「高コンテクスト文化」となる
■異文化交流が活発なほどルールが共有されない「低コンテクスト文化」が生じやすくなる
これまで思考の文化差は、東洋の「集団主義文化」、そして西洋の「個人主義文化」という区分で片付けられることが多かった。
ところが、大阪市立大学大学院などの新たな見解によると、思考スタイルの差は東洋の「高コンテクスト文化」と西洋の「低コンテクスト文化」に原因があるとのこと。
果たしてコンテクストの差とはどのような違いなのだろうか。
研究は大阪市立大学大学院とアラブ首長国連邦のウロンゴン大学ドバイ校の共同で行われ、詳細は5月26日付けで「Journal of Cognitive Psychology」に掲載されている。
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/20445911.2019.1626862?journalCode=pecp21
東洋は集団的思考、西洋は個人的思考
東洋人は、西洋人に比べてコミュニケーションに何らかの矛盾があってもそれを受け入れる傾向が強いとされている。
その具体例が、「過度の卑下は半分自慢」ということわざだ。
1つの文の内に矛盾を含むことわざは東洋に多く、西洋ではあまり好まれない。つまり、東洋は矛盾を受容する考え方、西洋はルールを厳密に重視する考え方を好むということだ。
この文化差はこれまで、東洋が集団主義的であり、西洋が個人主義的であるからだという理由で説明されてきた。
集団主義とは、自分をグループの一部と見なし、個人の利益よりも集団の利益を優先するという考えだ。反対に個人主義とは、自分を家族や友人から独立した存在と見なし、他者の利益よりも個人を優先するというものだ。
しかしこの区分けは、南米のように集団的だが矛盾を受容する考え方は好まないという国について説明することが不可能であった。そこで研究チームが提唱したのが、文化差をコンテクストの状態によって説明するというものだ。