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2020年中に人間の脳と機械を直結する「Neuralink」 中には懐疑的な意見も…

2019.07.18 Thursday

Credit:depositphotos

Point

■米国のスタートアップ企業「Neuralink」は人間の脳とコンピュータを直結させる技術についてプレゼンを行った

■髪の毛の4分の1程度の幅のワイヤーを脳組織へ埋め込むことで、大量のデータの読み書きが行えるという

■このブレイン・マシン・インターフェースについて、同社は2020年中に、実際に人間を使った臨床試験の実施を目指している

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「Neuralink」は2017年創業のスタートアップ企業だ。

スタートアップ企業というのは早期にイノベーションの創出や新ビジネスの構築を目指して、現在はまだ確立されていない技術や、市場開拓を目標に資金調達を行い創業された企業のことを刺す。

現在「Neuralink」が目指しているのは、脳と機械の直結だ。この技術について、同社は実際に人の脳を使った臨床試験を2020年中に実施したいと話している。

SFまがいの目標だが、これまで秘密主義で進められてきた技術について、同社は7月17日にプレゼンを公開し、これはNew York Times紙やBloombergなどの大手メディアでも話題に取り上げられている。

同社のプレゼン動画は、YouTubeに公開された。

Neuralink Launch Event
https://youtu.be/r-vbh3t7WVI

脳と機械の直結

「Neuralink」が創立当初目的としていたのは、てんかんなど大脳に起因する慢性疾患の緩和を目的とした、脳に直結するインターフェースの開発だった。

この研究過程において、人の脳とコンピュータを繋ぐテクノロジーが開発されたというのだ。

今回プレゼンされたのは、人の脳内へ細いワイヤーで繋がれた極小のチップを埋め込み、そこから読み取った信号によって、考えるだけでスマートフォンなどの操作を可能とする技術だ。

これは髪の毛の4分の1(直径6μm)程度の極細ワイヤーが何十本もチップの電極に繋がっており、チップもワイヤーも薄く柔軟性があるため、脳組織を傷つけることなく、ともに動くような状態で埋め込めるという。

Credit:@brainupdates

チップの埋め込みのためには、現在の技術ではドリルで頭蓋骨に8mmほどの穴を4つ開けて脳内へ挿入する必要がある。これは将来的にはレーザーを用いることで何も感じることなくユーザーへの装着を可能にすることを目指している。

埋め込まれたチップからつながるワイヤーは、耳の後ろに外科的に埋め込まれたデバイスへと接続され、そこから無線信号により対象となるコンピュータへ伝えられる。

Credit:@brainupdates

すでにこの技術は、マウスを用いた実験で成功しており、頭にUSB-Cポートを埋め込まれたマウスは、正常に活動を行い、脳内の信号データを収集することができたという。そのデータ量は従来のセンサーを用いた方法に比べ10倍近いものとなっている。

非常に小さいワイヤーは移植による脳の損傷リスクを大きく減らす。Credit:@brainupdates

この技術は、まずは重篤な全身麻痺患者を対象に、彼らが意思の力で機械を操作できることを目指している。この技術が実現されれば、全身麻痺の患者でも自分の意思でアームを操作し、コップの水を飲むなどの動作が可能になる。

しかし、彼らの目標はもっと先の未来を見据えているようだ。彼らの最終的な目標は、患者に限らずこのシステムを脳内へ埋め込み、触らずにスマートフォンなどの操作を行い、さらにはインターネットへ接続して、新しい言語を頭の中にダウンロードし学ぶことなく使いこなしたり、他人とデジタルな意見を脳内で交換することだという。

さすがにそこまでいくには、途方もない時間がかかりそうだが、そうした未来へ向けての技術開発を彼らは行っている。

こうした研究を彼らが進めるもう1つの理由は、AIの台頭に対する警戒からだという。

現在のままAI技術が進歩すれば、いずれ人類は彼らにとって劣った存在となってしまう。例えAIが善良な存在だったとしても、人工知能と人類が対等な関係で共生していくためには、人類にもデジタルデータへのダイレクトなアクセス能力が必要となるはずだ。

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