Point
■汚染された海水を浄化するための海上摩天楼「フィルタレーション」の建設が計画されている
■建設場所は世界の海で最もゴミが集積している「太平洋ゴミベルト」を想定している
■吸い込んだ海水からゴミを取り出しフィルタリング浄化することで、クリーンな状態で再び海に戻すことができる
SF映画のような外観です。
アメリカの建築デザイナーであるホングリン・リー氏が、海洋ゴミを浄化するための海上摩天楼「フィルタレーション」の計画を発表しました。
フィルタレーションは、ゴミや汚染物質を含む海水を吸い込んでフィルタリングして汚染水を浄化。優秀な高層建築デザインを決める「2019 eVoloコンペティション」で賞を受賞しています。
このSFチックな摩天楼が、海のゴミ問題を解決してくれるかも。
海を救う切り札となるか
フィルタレーションの建設場所には、世界の海で最も汚染されている「太平洋ゴミベルト」が想定されています。
太平洋ゴミベルトは、北太平洋の中央部にかけて海洋ゴミが多く分布している場所です。特に循環する海流の影響で大量の浮遊プラスチックが集積しています。
ゴミベルトの領域は太平洋全体の8.1%を占めており、その大きさはカリフォルニア州(約42万㎢でアメリカ第3位の広さ)の実に3倍。集積しているゴミの厚さは30mを越えていると言われています。
海洋ゴミの約80パーセントは陸上から流れてきたもので、残りの20%は海上の船舶から沈殿するゴミや油となっています。これら浮遊するプラスチック粒子や汚染物質を魚や鳥が誤食してしまうことで、命を落としたり、負の食物連鎖が生じたりしているのです。
フィルタレーションの内部にはゴミ回収設備と汚染水浄化プラントが設備されており、海中から吸い込んだ海水を頂上まで運んでゴミを分別。それから、汚染された海水をフィルタリングすることでクリーンな状態に戻すことが可能です。
また頂上に集積されたゴミは、可能な限りリサイクルに回されます。
まだ具体的な建設計画は立っていないようですが、このSFチックな摩天楼が青い地球を救う切り札となるかもしれません。