液体を固体へ変える原因
粒子の集合体に振る舞いの変化が起きたのは、摩擦が原因です。
少ないビーズで実験した場合には、それぞれの粒子はほとんど摩擦の影響を受けません。そのため容器の動きに合わせて一緒に回るのです。しかし、粒子の量が増えて互いに接触する粒子が増えた場合、それぞれの粒子は互いの摩擦力によってグループを凝固させて、挙動に変化をもたらします。
固体のプラスチックパックを回した場合に、容器の動きと逆方向に回ったのは、パックの端が容器の外周に引っかかったことが原因です。しかし、液体の場合には、摩擦は非常に小さいためにこうした影響が現れません。
つまり、物質の固体化の原因はその物質を構成する粒子同士の摩擦によって決まるのです。
確かに砂浜でも、乾いた砂は液体のように動き回り足を取られて歩きにくいですが、濡れた波打ち際だと地面はしっかりと固まり歩きやすくなります。
このことから、Lee氏らはコンピューター・シミュレーションを使って、全ての粒子の摩擦を取り除いた場合に粒子がどれだけあっても固まらないということを実証しました。
それは本当かな? ということで、ナゾロジーでも摩擦がほとんど無いと思われるタピオカの集合を使って実験してみました。
容器を満たすビーズを回した動画と比べると、タピオカは容器の動きと一緒の方向に回っているのがわかります。摩擦が働かない場合、粒子は集まっても固体としては振る舞わないのです。
物理的には重要な課題に触れる実験が、こんな簡単な方法で見ることができるのはなかなかに面白い事実です。単純なお話のようですが、この研究もフィジカルレビューに掲載されていることから、かなり意義深い問題を指摘しているようです。
タピオカが液体のようにちゅるちゅると飲みやすい理由は摩擦が無いからなんです。つまりこの論文はタピオカは飲み物ということを言いたかったんですね(違います)。