Point
■アリゾナ州の国立公園内にある巨石(重さ1トン)が、10月初旬に忽然と姿を消し、先週金曜日に再び姿を現した
■石に含まれる鉱物は200ドルの価値があり、石泥棒の犯行もささやかれているが、目撃者は1人もいない
アメリカ・アリゾナ州で、「数週間姿を消していた巨石が再び出現した」というニュースが報告されました。
話題になっているのは、同州にあるプレスコット国立森林公園の敷地内の石。黒地に白のストライプが幾重にも入った巨石は、地元民や観光客の休憩スポットとして有名でした。
その重さは約1トン。簡単に飛ばされたり、持ち出せたりする大きさではありません。
この巨石が姿を消したのが、10月初めのことです。突然の消失に地元民もショックを隠せませんでしたが、なんと先週金曜日の早朝、何食わぬ顔で石が元の場所に戻っているのを公園の警備員が発見しました。
この不思議な現象から、石は現在、「ウィザード・ロック(魔法使いの石)」と呼ばれています。
石泥棒の犯行か?
消失理由についてはいまだに不明ですが、説明不可能でもないとのこと。
公園管理者のジェイソン・ウィリアムズ氏は「誰かが無許可で石を盗んでいった可能性が高い」と話します。
同氏によれば、ウィザード・ロックほどのサイズなら、含まれる鉱物は最大で200ドル(約2万1千円)の価値があると言います。それを狙って、ときどき石を無断で盗んで行く人も現れるようです。
もちろん、国有林から許可なしに岩石や鉱物、天然物を窃盗すると、高額の罰金や禁固刑が科されます。当のプレスコット国立森林公園も、石撤去の許可は一切出していませんでした。
ウィリアムズ氏は「石の消失が誰かのしわざだとすれば、一番手っ取り早い方法はショベルカーだ」と話します。ウィザード・ロックほどの巨石なら、魔法でも使わない限り、ショベルカー以外では運びようがありません。
ただ不思議なのは、これだけ大掛かりな犯行が、人通りもある場所で誰にも目撃されていないことです。犯人は警備員がいない時間帯を狙ったか、あるいは、見かけた人も公的機関がやっている作業と思い込んだ可能性があります。
ところが、聞き込み調査やニュース報道後も、犯行を目撃したという人は1人も現れないままです。公園側も石が戻ってきたことで調査を辞めており、すでに真相は藪の中。
犯人が良心の声に耳を傾けたのかもしれませんし、石がひとりでに旅をして、また元の場所に戻ってきたのかもしれません。