平衡点の最小数の物体「Gömböc(ゴムボック)」
さて、物体には必ず複数の平衡点が存在すると分かりましたね。そして平衡点の数は物体によって異なります。
では、平衡点の最小数はいくつなのでしょうか?
長年科学者たちは「最小数は4」だと考えてきました。身の回りの物体の平衡点を数えてみてください。平衡点が4つ以下の物はまず見つからないでしょう。
しかし、2006年ハンガリーのブダペスト工科経済大学の数学者ガボル・ドモコス氏らによって「物体の平衡点最小数は2」だと証明されたのです。
その平衡点最小物体こそが「ゴムボック」であり、下部の中心に「1つの安定平衡点」と上部の先端に「1つの不安定平衡点」を持っています。
平衡点の性質上、このゴムボックはどんな力が加わったとしても最終的に必ず同じ体勢で静止します。
横においても、逆さにおいてもひとりでに起き上がるのです。
いくつかの面があるので、それらの面でも静止しそうですが、平衡点が2つしかないので、この2つ以外では絶対に静止しません。
似たようなおもちゃに「おきあがりこぼし」がありますね。これは中に別の素材のおもりを挿入することで成り立っています。
しかし、ゴムボックは単一の素材だけで成り立つものです。
素材の違いを利用しているのではなく、純粋に物体の形状だけで「起き上がり」を作りあげているのです。安定平衡点と不安定平衡点が1つずつだからこそ達成できる偉業だと言えるでしょう。
もちろん、素材の影響は受けませんから、アルミ、鋼、ガラス、陶器などのゴムボックが作られており「GömböcShop」で販売されています。