先月の「ベスト3」実際にどう見えた? レポート
さて今回は、7月の「星の見どころベスト3」と「ネオワイズ彗星」の観測結果について、合わせてご報告します。
例年の梅雨なら、数時間は晴れ間が見える日もあるものですが、今年はほとんどなし。
毎日天気を頻繁にチェックし、ようやく19日に雲が流れる隙間を狙って、ネオワイズ彗星を写真に収めることができました!
薄く雲がかかっていたこともあり、肉眼で見つけるのは無理でした。
また、夜明け前に千葉の海まで遠征して観測した人の話によると、そのときよりもかなり暗くなっているそうでした。
筆者の家からは下から彗星を探す目印になる、しし座が建物に隠れて見えなかったので、上からの目印となる北斗七星を頼りに双眼鏡で探していったところ、ぼやっとした天体を発見しました。そこで、それが見られたあたりをカメラで露出やシャッター速度を調整しながら撮影すると、ネオワイズ彗星の姿をとらえることができました。
さらに、写真で彗星の姿がわかって目が慣れると、双眼鏡でも尾があることや、尾の向きを把握することができました。
なお、同時刻に多くの星のソムリエ®と、さながら「アイドルの出待ち状態」でネオワイズ彗星を待ち構えていたのですが、同じ23区内に住んでいても雲があって見られなかったり、高度が低いうえに彗星が暗すぎて見つけられなかったりと、観測に成功した人は多くなかったです。筆者も観測や撮影チャンスはわずか20分ほどだったため、観測できて幸運でした。
次は、7月の「星の見どころベスト3」の観測結果ですが、残念な結果となりました。
Best2にあげた、「金星とヒヤデス星団の接近」ですが、何日か狙える期間があったにもかかわらず、天候に恵まれませんでした。
こちらは金星と、ヒヤデス星団を構成するおうし座の1等星、アルデバランがもっとも接近する7月12日を狙ったとき。
雲の間から一瞬だけ金星と、アルデバランが見えましたが、ポツポツと雨が降り始めていました。同時に早朝のネオワイズ彗星も探しましたが、東の方にも厚い雲がかかっていました。
また、Best1にあげた「明け方の空に全惑星が一堂に会する」も観測できる期間は長かったのに、悪天続きで無理でした。空中に惑星がある状況的に、空の全体が晴れている必要がありますしね。
木星と土星が南に昇ってきたときに少し雲が切れたので、撮影したものがこちらです。先述のとおり、2つの天体がもっとも明るくなる時期でしたが、肉眼で見ても実感することはできました。
最後はBest3にあげた「みずがめ座δ(デルタ)流星群の極大」ですが、7月28日~30日なので、この記事の執筆時点ではまだ先です。筆者のいる関東では無理そうですが、九州や近畿では28日以降に梅雨明けの可能性があると言われているので、見ることができた方もいらっしゃるかもしれませんね。
今は新型コロナの第2波到来とも言われ、外出しにくくなっていますが、今回ご紹介した天文現象は、いずれも都会のベランダからでも気軽に見られます。ぜひ観測してみてください。
ふと顔を上げてきれいな星を眺めれば、心がやすらぎますし、ポジティブな気持ちに切り替えるきっかけにもなるのではないでしょうか。
Reference: 国立天文台(1, 2), 星空年鑑2020, AstroArts(1, 2), tenki.jp / written by ofugutan