「SS 433」の歳差運動とガス雲の脈動
「SS 433」の連星系では2つの天体が軌道に対して平面な状態で並んでおらず、ブラックホールの軸が傾いています。このため、ジェット噴射は歳差運動によって螺旋状に宇宙へ飛ばされています。
ブラックホールのジェット噴射は強力な磁場と関連していて、光速の実に26%という速度で物質を噴射し、同時にX線やガンマ線も放出しています。
このブラックホールの歳差運動は約162日の周期で行われていて、これによってマイクロクエーサーから来るガンマ線は、規則的な脈動をしているように見えるのです。
研究チームは、そんなフェルミガンマ線宇宙望遠鏡の過去10年間の観測記録をチェックしていました。
するとそこから「SS 433」と同期して脈動するガス雲「Fermi J1913+0515」を発見したのです。
しかしこれは非常に奇妙なことでした。ガス雲「Fermi J1913+0515」は「SS 433」から100光年も離れていた上、ブラックホールがジェットを放射していると考えられる軸からはまったくズレた方向に浮かんでいたからです。